唐桃の読んだもの。

読んできた本や漫画を、徒然に紹介していきます。

2018-01-01から1年間の記事一覧

猫が出てくる怪談を読みました。~ポー「黒猫/モルグ街の殺人」、黒木あるじ・我妻俊樹他「猫怪談」、TONO「猫で語る怪異」

ほとんど音も立てずに動く。すばやい。 思わぬところから出てくる。 人の近くにいるのに、人とは違うものを見ているような気がする。 だから、猫はホラー作品とも相性がいいのだと思います。 私にとってのそのはじまりは、やはりポーの黒猫でしょうか。 動物…

江戸が舞台のミステリ小説を読みました。宮部みゆき「初ものがたり」、半七捕物帳傑作選「読んで、半七!」、都筑道夫「なめくじ長屋捕物さわぎ」

現代社会でのミステリ小説も好きですが、 特有の背景をもつものも、また違うおもしろさがあると思います。 その時代や、場所だからできるトリックがあったり、 価値観や決着のつけかたが違っていたり。 なので、今回は江戸時代が舞台のミステリーを紹介しま…

wagashi asobi について書かれた本を読みました。~うめ(小沢高広/妹尾朝子)「おもたせしました。」、BMFTことばラボ「ふわとろ SIZZLE WORD 「おいしい」言葉の使い方」

東急池上線、長原駅から歩いてほど近いところにあるのが、 wagashi asobiのアトリエです。 wagashi-asobi.com ここで売っているお菓子は、絞りこまれた2種類。 ドライフルーツの羊羹と、ハーブの落雁です。 羊羹も落雁も、私にとっては 出されたら食べるけど…

雑草について書かれた本を読みました。~吉本由美「みちくさの名前。雑草図鑑」、多田多恵子・大作晃一「美しき小さな雑草の花図鑑」

自然破壊が叫ばれているのはずいぶん前からですが、 さすがに外を歩いているとき、草の一本も目に入らないというのは なかなか特殊な環境ではないかと思います。 とはいえ、その名前や植生を知っているかと言えばそれも微妙な話。 よく見るあの草、草むしり…

単位について書かれた本を読みました。~米澤敬「はかりきれない世界の単位」、世界単位認定協会「新しい単位」

エラ・フランシス・サンダース「翻訳できない世界のことば」 の、 新刊広告からこの本を知りました。 同じシリーズになっているんですね~。 ここで紹介されているのは、 50の「近代化とともに使われなくなった、人間味あふれる」単位。 たとえば髭秒、は1秒…

ユリイカ2018年10月号「図鑑の世界」を読みました。

青土社 ||ユリイカ:ユリイカ2018年10月号 特集=図鑑の世界 もともとこの雑誌は好きで、よく読んでいたのですが 今回は特に読み応えがありました。 あの図鑑ができるまでにはこういう過程があったのか、 こんな目的で作られていたのか、こんな工夫があった…

「MINIATURE LIFE展 ~田中達也 見立ての世界~」を見にいきました。

www.youtube.com9月23日(日)まで、日本橋高島屋で 「MINIATURE LIFE展 ~田中達也 見立ての世界~」 が行われています! 上記のムービーに使われているジオラマも展示されていて、 いろんな角度から見てきました。 この方の作品の中では、ブロッコリーがサバ…

ビールがおいしそうな本を読みました。~西澤保彦「麦酒の家の冒険」、恩田陸「酩酊混乱紀行」

ばーっと汗をかいて、熱くてのどがかわいて、 疲れているときのビールはいいですよね。 炭酸の刺激も、あの苦味もひときわおいしく感じられる。 グラスが冷えていればもっといい。 今日はそんなおいしさを実感できる本を紹介します。 大学の友人4人が、迷い…

「デザインあ」の本を読みました。~岡崎智弘「デザインあ 解散! の解」、「デザインあ 解散! の散」

www.miraikan.jst.go.jp 日本科学未来館で10月18日まで行われている 「デザインあ」展を見に行きました。 ここではお弁当に入った梅干しの気持ちを知ることも、 デッサンをしてみることも、歯車となって回りながら通路を進むことも、 四方を囲むスクリーンに…

靴について書かれた本を読みました。~ジョン・ピーコック「Shoes」、えすとえむ「IPPO」、園田ゆり「あしあと探偵」

立って歩けるようにもなれば、 それは靴を履くこととほとんど同じ意味でありました。 これまで履いてきた何十足を思い出すような、 靴について書かれた本を紹介します。 この本、ジョン・ピーコックの「Shoes」では、 3000年以上前のサンダルから現代の…

ますむらひろしの本を読みました。~「 ATAGOAL×HOKUSAI」、「ゴッホ型猫の目時計」、吉本ばなな「ばななブレイク」

現在、両国駅近くにあるすみだ北斎美術館では 8月26日(日)まで「ますむらひろしの北斎展」が行われています。 この人の漫画を小学生の時知ってから、 もう10年以上読みつづけているので嬉しく、 私も会場を行ったり来たりしながらじっくりと楽しみました。 …

あったかもしれないものの本を読みました。~原研哉「デザインのデザイン」、穂村弘・パンタグラフ「パラレルワールド御土産帳」

漫画や小説では、 ときどきキャラクターや物語の初期設定が載っているものがあります。 私は以前から、そういうものが好きでした。 たぶん、最初に意識したのは 和月伸宏の「るろうに剣心」だったと思います。 このキャラのモデルにしたのは誰か、デザインは…

写実画・細密画について書かれた本を読みました。~月刊美術編集部「写実画のすごい世界」、宮部みゆき「ステップファザー・ステップ」

写真のようにリアルな作品を、絵画という形で見せる。 それが写実画です。 とはいえ、定義は様々あるようで 写実絵画を専門に収集している、ホキ美術館のHPによれば 「写実絵画とは物がそこに在る(存在する)ということを描くことを通して しっかり確かめよ…

インドについて書かれた本を読みました。~松岡宏大・野瀬奈津子「持ち帰りたいインド」、「タラブックス インドのちいさな出版社、まっすぐに本をつくる」、U-zhaan「ムンバイなう インドで僕はつぶやいた」

私がインドをはじめて意識したのは、椎名誠のエッセイででした。 たしか本文に、 車に乗ったときに窓から入る風が、 ドライヤーを吹きつけられているようだ と書かれていて、それが印象に残っています。 子供心に、熱風を感じました。 そんなインドで作られ…

カレーについて書かれた本を読みました。~阿川佐和子など「アンソロジー カレーライス!」、カラスヤサトシ「カラスヤサトシの日本びっくりカレー」、清水義範「12皿の特別料理」

鉄腕DASHで、企画「俺たちのDASHカレー」がはじまったとき、 私もカレーを食べていました。 何をどう入れても大概の場合どうにかなるものが、カレー。 学校でも、家庭でも、カレーと無関係に過ごしてきた人は 少ないんじゃないかと思うくらいです。 なので、…

アメリカでの日常について書かれた本を読みました。~近藤聡乃「ニューヨークで考え中」、ユペチカ「サトコとナダ」

起きてご飯を食べてお仕事してちょっと好きなことをして その他もろもろもして眠る、日常。 もちろんそれは世界中で行われているものだけど、場所が違えば またいろんなところが変わってくるのだと思います。 今回は、アメリカでの日常を描いている漫画を紹…

セーラー服について書かれた本を読みました。~森伸之「私学制服手帖 エレガント篇」、酒井順子「着ればわかる!」

文京区にある「弥生美術館・竹久夢二美術館」では、 6月24日(日)まで、「セーラー服と女学生」展が行われています。 中村佑介のポスターが印象的なこの展示では、 多くのイラストや雑誌、実物などの資料で、 セーラー服の魅力を教えてくれました。 それにち…

手紙に関わる本を読みました。~吉田篤弘「遠くの街に犬の吠える」、藤井咲子「おじいちゃんの封筒」、久保田沙耶「漂流郵便局 届け先のわからない手紙、預かります」

世に「偶然」と称するものは多々あります。 しかし、ぼくとしては、あのときのあの出会いだけに「偶然」を使いたい。 でなければ、これほど沢山の手紙を書きつづけてきた理由が わかりません。 ぱあっと、情景が浮かぶ本でした。 たとえば、桃を切る感触、 …

くらやみについて書かれている本を読みました。~村上春樹「騎士団長殺し」、茂木健一郎withダイアログ・イン・ザ・ダーク「まっくらな中での対話」

「光の99,965%を吸収する物質」というものを、ネットで見かけました。 ペンタブラックと名づけられたそれは、ほとんど光を反射しないので、 物があるというよりも、 ただ切り取られた暗闇があるようでした。 それがとても印象に残ったので、 今日は「くらや…

犬が出てくる本を読みました。~エクスナレッジ「空飛ぶ犬たち」、宮部みゆき「パーフェクト・ブルー」、みやもとかずよし「こまいぬ」

犬が飛ぶ。 跳び上がった空中で、体勢を変える。 芝生の上を駆ける、雪原を跳ねる、花畑で遊ぶ。 フリスビーに飛びかかる、 ボールに向かって跳ぶ、 大勢で柵を飛び越える。 鼻や毛並みがぴかぴかしていて、 躍動感があふれ、 見ているこちらもわくわくして…

夢枕獏の「沙門空海唐の国にて鬼と宴す」と、そのコミカライズを読みました。

先日、映画「空海ー美しき王妃の謎」を、見てきました。 夢枕獏の原作「沙門空海唐の国にて鬼と宴す」が 好きだったので興味を持ったのですが、 なるほどここを削って、ここを付け足して、 こういう風に変えたのか、という違いが面白く、 女性の衣装や髪型、…

カエルに興味がわいてくる本を読みました。~草野心平「蛙のうた」、松橋利光・高岡昌江「ずら~りカエル ならべてみると・・・」、高山ビッキ「かえるる カエルLOVE111」

るてえる びる もれとりり がいく。 ぐう であとびん むはありんく るてえる。 ではじまる詩を知ったのは、 北村薫の「スキップ」ででした。 それが草野心平と結びついたのは、ずっとあとのことです。 この福島生まれの詩人は、 カエルを題材とした詩をたく…

ハングルについて書かれた本を読みました。~荒川洋治「ぼくのハングル・ハイキング」、茨木のり子・金裕鴻「言葉が通じてこそ、友だちになれる」、四方田犬彦・金光英実「ためぐち韓国語」

語学というのは、習得を目ざすことではないという気持ちがある。 しゃべれるとか、話せるとか、 そんなことはどうでもいいとはいわないが、 学習をとおしてその人がふれていくもの、 みずからにおいて見出したものが 重要だという点は忘れたくない。 と、詩…

イスラエルに関わる本を読みました。~ナタリー・ベルハッセン/ナオミ・シャピラ「紙のむすめ」、大桑千花「エルサレム・クロック イスラエルの春夏秋冬」、浅暮三文「似非エルサレム記」

イスラエル、とちょっと検索してみると 物騒なニュースがたくさん出てきますが、 それはあくまで一面で、 美しいところ、楽しいところもたくさんあるのですよね。 今日は、そんな本を紹介します。 これは、飯田橋近くにある印刷博物館での企画 「世界のブッ…

歌や句の本を読みました。~正岡子規・天野祐吉「笑う子規」、倉阪鬼一郎「怖い俳句」、西加奈子・せきしろ「ダイオウイカは知らないでしょう」

2018年、初めての更新です。 今年もいろんな本を読んでいきたく思いますので、 よろしくお願いします。 最近は、短歌や俳句の本を読むようになりました。 とはいえ詩の歴史は長いので、 それだけではおもしろさがわからないものもあります。 わかりやす…