図書館や書店で、知らない作者の本を手に取るとき、タイトルがきっかけになることが多いです。
手に取ったから買うわけではなくても、手に取らないものは買う機会さえありません。
真っ先に目に入る本の顔なのですから、おろそかにはできませんね。
今日はそんな、タイトルについて書かれた本を紹介します。
清水義範「日本語の乱れ」には、
小説のタイトルについて書かれた、その名も「題名に困る話」も収録されています。
自分はタイトルを決めてからじゃないと一行も書き始められないんだ、という小説家が
担当の編集者と、古今の物語につけられたタイトルについて話していきます。
これを読んだときには、笑いながらもそんな人いないだろうと思っていたのですが、
そうでもないようだと思ったのは、下の本を読んでからです。
「創作者たちが、タイトルをどう考察し、どうつけて、現場がどう動いたかエッセイと書き下ろしを収録した」アンソロジーです。
小説家に詩人、翻訳家に編集者、それぞれの立場からの違いを、おもしろく読みました。
「タイトルができないと、主人公が動いてくれない」(田辺聖子「タイトルについて」)
「タイトルは作品の象徴です。そして、作品の内容や、作品の運命までも決定してしまいます」(恩田陸「タイトルの付け方」)
「タイトルのつまらぬ作品は、最初から読む気も起こらない」(新井満「六脚の椅子と十七羽の色とり鳥」)
同じテーマだからこその違いや共通点も見えて、楽しいです。
また、この本は各ページの端に作者の名前を書いているので、
誰が書いたんだったかな、と思うときも視線をちょっとずらすだけで確認できます。
では、どうしてこの本の、曲の、映画やドラマのタイトルに「ぐっとくる」のかを
多くの具体例で紹介されています。
口に出したときの響きがいい。
パロディとしておもしろい。
内容が分かりやすい。
意味が分からない。
現場では題名を決めるまでどんなことが行われているのかも、わかります。