スープのルーツは、固くなったパンを汁気に浸して粥状にしたものらしいと、
主食だったのがその調理法が向上し、「汁」部分が重視されるようになったので、
英語では「drink」ではなく「eat」を使うのだと。
今日はそんな、スープが出てくる本を紹介します。
こちら、もともとはフランスの昔話だそうです。
「せんそうがおわり、ふるさとにかえるとちゅう」の三人の兵隊が
ある村に立ち寄って…というところからはじまる、トンチのきいた話です。
「なあに、ちょいとあたまをつかえばいいのです」
という台詞に、兵隊たちの笑顔が浮かんでくるようでした。
私は「石のスープ」というタイトルで知りましたが、そっちはポルトガルに伝わる
民話だとWikipediaには書かれていました。
人から人へ、本から本へ、おもしろい話は国を超えて伝わるのでしょうね。
アメリカ西海岸を主な舞台にした、ミステリ風味の一冊です。
主人公である弦矢は、遺産相続の手続きでロサンゼルスに行くことになり、
亡くなったおばには行方不明になっている娘がいたと知ります。
弦矢は私立探偵のニコと共に、おばの人生に何が起きたのか探っていく…という話です。
ここに出てくるスープは、おばの手作り。
スープストックがいくつもガレージの冷蔵庫に保管されていて、弦矢や周りの人が
それをあたためて食べるところには独特のものがありました。
もう亡くなった人が作った料理を食べる、ということ。
物語はこの一冊で終わっているのですが、続編として
ロサンゼルスでスープ屋を経営する弦矢と、ニコを中心にした
コージー・ミステリーがあったら読んでみたいです。
吉田篤弘「それからはスープのことばかり考えて暮らした」には、
「どんなスープが出来上がるかは鍋しか知らない」という言葉が出てきました。
路面電車が走る町に越して来た青年が出会う人々。商店街のはずれのサンドイッチ店「トロワ」の店主と息子。アパートの屋根裏に住むマダム。隣町の映画館「月舟シネマ」のポップコーン売り。銀幕の女優に恋をした青年は時をこえてひとりの女性とめぐり会う-。いくつもの人生がとけあった「名前のないスープ」をめぐる、ささやかであたたかい物語。
映画館で漂ってくるスープの匂い、まかないで作る味噌汁、
主人公が風邪をひいたときに、大家のオーヤさんが作ってくれたスープ、
いろんな人との出会いを通して、主人公の大里くん、通称オーリィくんは
パン屋「トロワ」でオリジナルのスープを作ります。
ここのサンドイッチがまたおいしそうで、近くにあったら通っていただろうな~。