エッセイでも小説でも、あるいはコミックでも、
夫婦の片方がもう片方のことを書いていくものは多いけど、
両方が書いている本にはどんなものがあるだろう。
そう思ったので、今日は夫婦で書いた本を紹介します。
夫婦で本を勧めあい、感想を交換すれば、相互理解が進み、仲良くなれるはずだった。なのに、『羆嵐』『VOWやもん! 』『クージョ』『台所のおと』『黄昏流星群』と、妻と夫が交互に本を紹介する読書リレーは、どんどん雰囲気が険悪に。相手の意図がわからず、慣れない本に右往左往、レビューに四苦八苦。作家夫妻にしかできない画期的読書案内。
この2人は、どちらも小説家。
円城塔の小説は、読んでいるうちに何がなんなのかわからなくなるのですが、
ときどきそのわからなさにひたりたくなるときがあります。
中間小説集:Open Middleware Report Web:日立
でも、無料で読めます。
田辺青蛙は、この本ではじめて意識したようなものなので、これから読んでいきたいと思います。
怪談を多く書かれているそうで、妖しき本棚の記事一覧で紹介されていた本にも、
ひかれるものがありました。
言葉のプロであっても、身近な人を理解するというのは難しいものですね。
だけど相手のわからなさを楽しく読めるのは、言葉のプロだからこそ、なのかも。
ずっと別々に行っていた居酒屋に今は二人で一緒に。旅先の味を求めてミャンマー料理を食べに。近所の古本酒場で常連たちと盛り上がり、芝居を観た後は朝まで話し合う。昼飲みの聖地ではしご酒、うまい魚を食べるためには電車に乗って。ご近所から海外まで、今夜も夫婦で一杯飲みに。読めばおかわり必至ごくごく読める楽しいエッセイ。
角田光代は「泥酔懺悔」の中で、お酒を飲まなきゃ自分の好きな自分、人が話すことに興味を持つ自分、人に心を開く自分でいられないんだ、ということを書いていました。
紹介されているお店が気になり、おいしそうなお酒と食べ物が気になり、
アルコールというものが嗜好品として発達しなかった世界を、考えてみたくなりました。
夫婦でユニットを組んでいる2人には、うえたに夫婦もいますね。
どんな人でもきっと1度は見たことがある「ビーカー」をはじめとしたお馴染みの実験器具から、特定の実験でしかお目にかかれない「石英セル」のようなちょっとマニアックな実験器具まで幅広い器具がキャラクターになりました!
今現在研究をしている理系の人も、かつて研究をしていた理系の人も、そしてこれから研究室に入る研究者のタマゴさんたちも、はたまた遠い昔に授業で実験をしていた文系の人も。
共感したり、懐かしくなったり、へぇーっと納得するものもあるかもしれません。
難しいことは抜きにして、実験器具の世界にのめり込んでみませんか?
紹介されている実験道具には理科の授業を思い出す一方で、
ビーカーにはこんな種類があるのか、ここが違うからこう使い分けるのか、
というように、どうしてそうなっているかに興味を持てるのは、今だからなのだと思います。
人間に近づけることで、モノが持っている特徴を強く感じさせる、というのは
目鼻を描いて人格が生まれ、会話が生まれ、個性が生まれていくのがおもしろかったです。