唐桃の読んだもの。

読んできた本や漫画を、徒然に紹介していきます。

超能力要素のあるミステリーを読みました。~大山誠一郎「ワトソン力」、西澤保彦 「完全無欠の名探偵」、井上夢人「風が吹いたら桶屋がもうかる」

「例えば――手品はオカルトではないね?」

「当たり前だ。あれは見せ物じゃないか。不思議に見えるが――種がある」

「そう。手品には種がある。種があると知っていて僕等は手品を楽しむ。

 種があることについて非難はしない。じゃあ超能力はどうだね?」

                          京極夏彦魍魎の匣」より

 

ということで、今日は超能力の出てくる話を。

大山誠一郎「ワトソン力」

 

目立った手柄もないのに、なぜか警視庁捜査一課に所属する和戸宋志。行く先々で起きる難事件はいつも、居合わせた人びとが真相を解き明かす。それは、和戸が謎に直面すると、そばにいる人間の推理力を飛躍的に向上させる特殊能力、「ワトソン力」のおかげだった。殺人現場に残されたダイイング・メッセージ、雪の日の不可能犯罪、バスジャックされたバス内の死体……。今日も和戸を差し置いて、各人各様の推理が披露されていく!

www.webdoku.jp

自分でも謎を解いてみたくなる(だけど解けない)連作ミステリーです。

文章や図で、目の前にはっきり状況が書かれているのに解けなかった~、

という感覚はクイズですね。

 

主人公和戸は、自分がどんな能力を持っているか自分でわかっているのですが、

似た能力を全然自覚していないのが西澤保彦「完全無欠の名探偵」です。

異能の名探偵が挑む謎の連鎖。
殺人の動機、不倫に隠された秘密。精緻な論理で明かされる意外な真相。

遠く離れて暮らす孫娘りんのため、大富豪がお目付け役に送り込んだ青年山吹みはる。「誰も嘘をつけないのよ、きみを前にすると」彼が短いあいづちを打つだけで、人々が勝手に記憶の糸を辿り、隠された意外な真相へと導かれる。精緻なロジックで事件が分析、推理されていく究極のアームチェア探偵新登場。

 

西澤保彦の小説には、

主人公が同じ一日をくりかえす「七回死んだ男」

違う生き物の体に乗り移る「いつか、ふたりは二匹」など特殊な設定の小説も多いです。

そしてこの人には、超能力が実在する世界での超能力問題秘密対策委員会、

略してチョーモンインシリーズもあるのですが

これはフィナーレまで読めるのかなあ、とちょっと不安です。

もう15年新作が出てないんですよね・・・

 

と、書いていて思い出したのは

井上夢人の「風が吹いたら桶屋がもうかる」です。

ここに出てくるのは、役に立たない超能力。

books.shueisha.co.jp

bunko.shueisha.co.jp

読んだのは10年以上前だけど、面白かったことは覚えています。

毎回小動物をイメージさせる美女が出てきたはず。

 

役に立たないけど、他の人にはない能力といえば、

高野雀の「しょうもないのうりょく」もそうですね。

「書類を崩さず置ける」「ポスターをまっすぐ貼れる」など、

誰もが取るに足らない能力、異能を持っている世界での日常が描かれていて、

試し読みがおもしろかったので今度買います。