唐桃の読んだもの。

読んできた本や漫画を、徒然に紹介していきます。

Junaidaの本を読みました。~「怪物園」「michi」「の」

ぼくらの町に、怪物たちが、やってきた。

怪物園 (福音館の単行本)

怪物園 (福音館の単行本)

  • 作者:junaida
  • 発売日: 2020/12/04
  • メディア: 単行本
 

 

先日3冊目の絵本「怪物園」を出版した画家のjunaidaは、

伊坂幸太郎「逆ソクラテス」の表紙の方でもあります。

まずはこちらのインタビューをどうぞ。

book.asahi.com

この絵本は、ページをめくるごとに現実と空想の世界を行ったり来たりします。怪物が出てくるのが空想の世界かと思ったら、実は怪物たちの方が現実。子どもたちが巻き起こすことの方が空想。現実と空想が逆転しているという作りになっています。しかも、通常なら空想の世界を描いたときには、そこに行ったまま、空想の物語が展開すると思うんです。でも、この本では何度も現実に引き戻される。その不思議さや怪しさというんでしょうか、そういう感じが出たらいいなと思って描きました。 

 

静かに道を歩く怪物と、家の中で遊ぶ子供。

その2つはどちらも否定されることなく、

かといって友達になることもなく、少しだけ接してまた離れていく、

その距離感がいいと思いました。

 

Michi (福音館の単行本)

Michi (福音館の単行本)

  • 作者:junaida
  • 発売日: 2018/11/14
  • メディア: 単行本
 

「Michi」を最初に読んだときは、日本の人だとわかりませんでした。

 

ひとりの少年とひとりの少女が、真っ白い道に導かれて進んでいく字のない物語・・・

なのですが、1ページの中の情報量が多い。

ぱっと見て、きれいだなって思って、次のページをめくってもいいんだけど、

縦横無尽に町中を通っている道を目でなぞって、そこにいる人や家をみつめていくと、

どこまでもその世界を楽しんでいけます。

 

それは「の」でもそうで、ポケットの中から生まれる世界の広さに驚きます。

の (福音館の単行本)

の (福音館の単行本)

  • 作者:junaida
  • 発売日: 2019/11/07
  • メディア: 単行本
 
「の」はいつも、ことばとことばのすきまにこっそりいます。でも、ふだんは目立たない、この「の」には不思議な力があったのです。その不思議な力がことばをつなぎ、ことばとことばが思いがけない出会いをはたしたとき、そこには見たこともない景色があらわれ、聞いたこともない物語がはじまります。「わたしの お気に入りのコートの ポケットの中のお城の いちばん上のながめのよい部屋の 王さまのキングサイズのベッドの……」。「の」は「わたし」と「王さま」を、「猫」と「太陽」を、「ここ」と「あそこ」を、「いま」と「むかし」を、そして、「あなた」と「わたし」をつなぎます。「の」は「ことば」と「ことば」をつなぐことで、「物語」と「物語」、「世界」と「世界」を橋渡しし、そうしてつながった、物語や世界は、それぞれがかぎりないひろがりを持っています。さあ、この絵本を開いて、不思議な「の」が導く、終わらない旅に出かけてみませんか。 

 

www.fukuinkan.co.jp

 

www.1101.com

 ポストカードでもバッジでも、アーティストのグッズを買うことで、

そのアーティストが次の絵を描くことの、作品集を作るためのお金ができる、

ということを改めて感じました。

いいと思ったものは作者にお金が入る形で買いたいな、

言葉にしていきたいな・・・と思います。

 

京都のお店「Hedgehog Books and Gallery」にも、いつか行ってみたいですね。

 

www.1101.com

 

修道士が登場する本を読みました。エリス・ピーターズ「聖女の遺骨求む」、青池保子「修道士ファルコ」 、山田正紀「天正マクベス」

 

 

喜国雅彦「本格力」が面白かったので、

そこに出てきた小説を紹介します。

 

 

 エリス・ピーターズ「聖女の遺骨求む」

 

時代で言うと12世紀のイングランドが舞台です。

主人公は薬草園を管理している修道士、カドフェル

もとは十字軍の騎士でした。

 

国内では内戦がおこり、国境の向こうからも領土を狙っている陣営がいて、

まさに内憂外患。

そういう時代に、カドフェルは様々な事件に関わっていきます。

作中で使われたトリック自体は、

ある程度ミステリーを読んでいれば途中でピンとくることもあるのですが、

12世紀という時代と、人々の暮らしの描写がいいです。

イギリスの中にあるウェールズという場所についても、

興味がわく小説でした。

                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                           

honyakumystery.jp

 

 

修道士、といえば私はこの漫画が好きでした。

青池保子の名前を知ったのも、これでです。

 青池保子「修道士ファルコ」

カドフェルの作品から200年ほど後のドイツを舞台にしています。

この本のあとがきにも、その話が出ていて、

有名な小説だったんだな~、と今になって初めて思いました。

 

スペインでは名高い剣客、

 今はリリエンタール修道院で修行するファルコが、

 仲間たちと一緒に、降りかかる事件をおさめていきます。

単行本のコメントによれば、

「嘘か本当か分からない何でもありの中世昔話風の世界」

1990年代から、今もスピンオフ作品が連載されています。

 

同じ時代に実在した王、ドン・ペドロの生涯を描いた大河ロマン「アルカサル」

も、大変ドラマチックです。

 

そして修道士は、もちろん日本にもいました。

 山田正紀「天正マクベス」

 

織田信長統治下の日本を訪れていたイギリスの劇作家シャグスペア。そこで彼が見聞きした謎や事件が後の劇作に大いなる影響と影を与えたというのだが……。「颱風(テンペスト)」に巻き込まれ、シャグスペア一行が漂着したのは琵琶湖に浮かぶ小島。そこには織田信長の兄弟の名乗る老人がいた。老人は魔法を見せるという。ところが衆人環視の湖上の小舟から消え失せ、そこから離れた浜に死体で発見されてしまう。この事件の後、琵琶湖畔で信長の甥の祝言が盛大に催されようとしていたのだが、その前夜に不可解な事件に遭遇する。石牢に閉じこめておいた男が、あたかも「夏の夜の夢」のごとく、いつのまにか牢の外でくびり殺されていたのだ。しかし、この度重なる事件は、最大の政変、本能寺の変を迎えるための前奏曲でしかなかったのだ……。天正マクベスはいかなる真実をさらすことになったのか。各章がシェイクスピア戯曲の「見立て」となった長篇ミステリー。

 

日本イエズス会修道士であるシャグスペアが英語で書いた

「れげんだ・おうれあ(LEGENDA AUREA)」がスペイン語に翻訳され、

それを作者が訳した、というかたちになっています。

主な舞台は日本、時代は天正

織田信長の甥である信耀を中心に、

シェイクスピアの劇を下敷きにした物語です。

始まりの一言からが劇のようで、幕が閉じるように終わります。

 

www.webdoku.jp

 

小学校の先生だった人が書いた本を読みました。~岡田淳「プロフェッサーPの研究室」、はやみねかおる「めんどくさがりなきみのための文章教室」、さとうかよこ「鉱物きらら手帖」

 出先の図書館で

小学校のころも、この人の本をよく読んでいたな、と思い出しました。
それがきっかけになったのか、最近ちょくちょくめくっています。
 
今の言葉でそのとき感じたことを思い起こせば、
周りも自分も悪くないけど、すんなりなじめない感じや
言葉に出ないところでたくさん考えているところが
好きだったんだろうな、と思います。
 

 「竜退治の騎士になる方法」では、おかずにいかなごの釘煮が出ている描写があって、

ひょっとしたらと思ったら作者はやっぱり兵庫生まれの人でした。

兵庫ではよくいかなごの釘煮を食べるって、県民性についての本に書いてあったけど

ほんとなんだ!

「くぎに」って、ひびきがおもしろいですね。

 

「こそあどの森の物語」 は、夏にはミュージカルにもなるらしいです。
小学校で図工の先生をしてきたときのことは、こちらでも少し読めます。
 

 はやみねかおる「めんどくさがりなきみのための文章教室」

 

文章を書くことが苦手でも、宿題の作文やお礼の手紙など、

ある程度の分量の何かを書かなければいけないときがあります。

そんなときに使える、読みやすい文の書き方が

語り手の文岡健と、猫のダナイが会話をしていく中で、

具体例を通して自然に頭に入ってきます。

 

gendai.ismedia.jp

 

 後半は、小説を書きたいと思う人がすることについても書かれています。

 たくさん読むこと、そしてたくさん書くこと。

そして、何がなんでも書き終えること。

料理が好きな人が、いろんな工夫をしたくなるように

文章を書くのが好きなら、いろいろやってみることが大事なのだな・・・

と思います。

これを読んで、私も200文字くらいの日記を書き始めました。

 

鉱物きらら手帖

鉱物きらら手帖

 

 

www.atpress.ne.jp

さとうかよこ「鉱物きらら手帖」

 

鉱石の名前の由来や構造、特性などの説明が写真と一緒に紹介されています。

帯の文字も、筆者のものかなあ。先生らしい文字だと思います。

 

25度くらいでとけて、冷やすと結晶となる南極石、

丸いぶどう石や、手触りがふわふわだというオーケン石・・・

今度は実際に見て、触れてみたいものです。

同じ石でも、同じかたちのものは1つもないところが好きです。

 

weekly-economist.mainichi.jp

著者が経営するきらら舎にも、いつか行ってみたいですね。

砂漠の本を読みました。~伊坂幸太郎「砂漠」、村山由佳「遥かなる水の音」、美奈子アルケトビ「砂漠の我が家」

パソコンを新しくして、

画面の見え方ががらりと変わりました。

変換機能や速度も上がってうれしい限り。

これからも、ぼちぼち更新していこうと思います。

 

最近読んだ、伊坂幸太郎の「砂漠」がおもしろかったので、

今日は砂漠について書かれた本を紹介します。

 

砂漠 (実業之日本社文庫)

 

入学した大学で出会った5人の男女。ボウリング、合コン、麻雀、通り魔犯との遭遇、捨てられた犬の救出、超能力対決……。共に経験した出来事や事件が、互いの絆を深め、それぞれを成長させてゆく。自らの未熟さに悩み、過剰さを持て余し、それでも何かを求めて手探りで先へ進もうとする青春時代。二度とない季節の光と闇をパンクロックのビートにのせて描く、爽快感溢れる長編小説。

 

books.rakuten.co.jp

語り手の北村、やませみのような髪型の鳥井、超能力が使える南、

美女の東堂、そして西島。

大学入学からはじまる、麻雀と平和と青春の話です。 

 

この本での砂漠は、いろんな形で文章の中に出てきます。

学生は砂漠に囲まれた、小さな町に守られているのだと言う北村の恋人、鳩麦。

その気になれば、砂漠に雪を降らすことだってできるという西島。

 僕たちは鳥井の砂漠を潤すことができるのだろうか、と思う北村。

 

どうしても分かり合えない人はいて、時には深く傷ついて、それでも時折、

予想外のところから差し込むやさしさのようなものに浮上する気分になりました。

 

 この本では実際に砂漠に行くわけではないので、

風景や、夜の空気や、照り付ける日差しについては、こちらを。

遥かなる水の音 (集英社文庫)

村山由佳「遥かなる水の音」

 

 「僕が死んだら、その灰をサハラにまいてくれないかな」。亡き周の希望を叶えるために共にモロッコへと旅立つ4人。いまの恋愛関係の行き先に不安を覚える緋沙子。近づきつつある老いにおびえるゲイのフランス人、ジャン=クロード。ふとしたはずみで身体の関係ができ、気持ちの整理がつかない幼なじみの浩介と結衣。愛の深さ、強さとは。そして生きることとは。様々な愛の形を浮き彫りにする感動長編。

www.shueisha.co.jp

360度が砂の世界というのは、どれほどのスケールなんだろうと思います。

肌がひび割れるような昼間の熱と、夜の涼しさ。

月光に照らされる砂漠、裸足の裏で感じる砂。

 

太陽と砂と風のほかに何もないあの場所では、生き物は死んでも腐ることさえ許されない。ただじりじりと陽に灼かれ、風に吹きさらされ、砂に削られて白い骨になり、やがては無に還っていくだけだ。命の連なりが、きれいさっぱり断ちきられる場所(p5)

 

そして、死がすぐそばにある本でした。

 

book.asahi.com

その 砂漠の広さは、こちらでも感じられます。

砂漠のわが家 Life in the Desert 砂漠に棲む

 美奈子アルケトビ「砂漠の我が家」    「Life in the Desert 砂漠に棲む」

 

 

www.huffingtonpost.jp

日本で生まれ育った人が、アメリカでアラブ出身の人と知り合い、結婚して、

たくさんの動物と砂漠に住むことになる。

砂漠の写真と、動物たちの写真集です。

genkosha.pictures

広い広い砂漠に、刻々と形を変える砂の文様。

 雨の後に生えるキノコ、砂の上を歩く猫、飛ぶ鳩、犬に馬、野性のハリネズミ・・・

 回りに人がいないからカーテンもいらない、小高い砂丘の上に一から建てた家での

暮らしも書かれています。

 

hanamomoac.exblog.jp

ちょっとお休みします。

 

閲覧ありがとうございます!

長年使っていたパソコンが、とうとう動かなくなりました。

CDが聞けなくなっても、モニター中央に謎の線が入ってとれなくなっても、

だましだまし使っていたのですが・・・

 

新しいものを手に入れるまで、次の更新はお待ちください~。

これからもよろしくお願いします!

 

仕事を紹介する本を読みました。~三浦しをん「ふむふむ」、グレゴリウス山田「十三世紀のハローワーク」、ナンシー・リカ・シフ「世にも奇妙な職業案内」

水仙が咲き出してだんだん春、と思ったら寒さがぶり返してきて、

毎年のことながらあと2ヶ月くらいでコートがいらなくなるのが

不思議です。

今日は、いろんなところでのお仕事の本を紹介します。

 

中世実在職業解説本 十三世紀のハローワーク

グレゴリウス山田「十三世紀のハローワーク」

 

中世欧州を中心とした世界史上の職業を

ゲームっぽく紹介した「Shoseki」です。

 

「街と村」「郊外と荒野」など、おおまかに活動する場所が分けられて、

職業の要素を「技能」「スキル」「属性」に落とし込んであります。

それぞれの社会的な立場や逸話も多く紹介されており、

文章量は多いけどイラストもネタも多くて楽しくページがめくれます。

十三世紀のハローワーク商業版www.pixiv.net アレンジされた外観は、装飾や髪型が

いかにもゲームらしい魅力を持っており、

文章では、中世の血なまぐさく厳しい一面を感じて、

よく人間は絶滅しなかったなあ、と思いました。

 

また、巻末にびっしり書かれた参考文献の多さには驚きます。

論文が書ける量なんじゃないかな。

違う本で正反対のことが書いてあったりもするようで、

イラストなり文章なりで具体的な形にするには

いろんなことを著者が決めていくしかないし、

その辺のセンスに個性が生まれるんだと思いました。

そんな職業、聞いたことない。そんな時代があったのか、と

いろんな驚きもあり、もっといろんな本を読みたい、と思いました。

 

ふむふむ: おしえて、お仕事! (新潮文庫)

三浦しをん「ふむふむ おしえて、お仕事!」

 

あなたがなりたかった職業は何ですか。靴職人、お土産屋、動物園飼育係、フィギュア企画開発、漫画アシスタントにフラワーデザイナー。夢を叶え、技能と情熱をもって働く15職種16人の女性に、作家が直撃インタビュー。時に持ち前の妄想力を炸裂させ、時にキレキレの自己ツッコミを展開し、時に物欲の鬼と化しながら、聞き取った素晴らしき人生の物語。さあ皆でレッツ“ふむふむ”!

 

www.excite.co.jp

特殊技能を活かして仕事をしている女性へのインタビュー集です。

雑誌「ダ・ヴィンチ」で、三浦しをん特集のときに、この本について

面白がることですべてが輝き始める、ということが書かれていたのが

印象的でした。

2015年に出版された本なのですが、インタビューをされた人の

名前で検索してみると、近況がわかる人もいて、それは今だから

できることだと思います。

ここの靴、注文してみたいなあ。

www.oil-magazine.com

 

世にも奇妙な職業案内

ナンシー・リカ・シフ「世にも奇妙な職業案内」

 

社会の気づかれない部分に属して、アメリカの生活の意外な側面を象徴してもいる風変わりな職業についている人々を紹介。

 

作者はニューヨークの写真家だそうです。

ここで紹介されているのは、

ハローワークでは募集されていないような職業ばかり。

犬の散歩士、譜めくり、ビンゴ読み上げ人・・・

 小川洋子「とにかく散歩いたしましょう」にも紹介されていました。

『世にも奇妙な職業案内』はとても小さなサイズの本である。そこに登場する人々の、決して出しゃばらない節度ある精神を象徴するかのような小ささだ。

(p157)

 

どんな職業であっても、やってみなければわからない

コツみたいなものがあるのだと思います。

自分が就いたことのある仕事というものはごくごく少ないものですが、

普段していることも、知らない人にとってはおもしろいものなのかしら。

いろんなことが気になりました。

童話が原作にある本を読みました。~斉藤洋「サブキャラたちのグリム童話」 安堂友子「マチ姉さんの妄想アワー」おのでらさん「コミケ童話全集」

今は子どもむけになっている昔話や童話は、

本当は残酷なものだったのだ・・・という設定のマンガや小説が、

流行ったときがありました。

今はもう、定番になっているのでしょうか。

 

www.kawade.co.jp新装版として、新しく出版されたそうです~。

これも読んでみたいですね。

 

語りなおしも行われていますが、

昔から話されてきた物語は、いろんな理由があるにしても

単純におもしろいからいままで残されてきたのだし、

普遍的なものがあるから、今でもそれをもとにした物語が

生まれているのだと思います。

今日は、そんな童話を原作にしている本を紹介します。

サブキャラたちのグリム童話

斉藤洋「サブキャラたちのグリム童話」

「だいたいだね、昔話なんてもんは、人が語りついでこそ、まともにつたわっていくもんだ。 本なんかにしちまったら、ろくなことになりゃしねえ。」
オーストリアのウィーンにあるシュテファン大聖堂前の広場で、仮装行列を見学していたわたしにこう話したのは、かつて「ブレーメンの音楽隊」のどろぼうだったと名乗る男、アンドレ・トーアでした。それから立て続けに、昔の軍隊の制服を着た青年と、いかにも童話から出てきたというようなかっこうの老婆がやってきて、それぞれ「白雪姫」と「靴屋の小人」の話をしていったのです……。
この本は、わたしが聞いた、その3つのふしぎな話を日本語になおしたものです。

物語の脇役、サブキャラたちが語る、あっとおどろくうちあけ話を3編収録した短編集第2弾。

 

実はあのときああだったんだ、と物語の登場人物が語ることで

おはなしはまた違った姿を見せます。

原作にそんな人物は出てこなかったけれど、

 この物語の中でそう名づけられたから、そういう人として存在する。

この本ではそこにしかいない、固有の人物を作ったのだと思いました。

 

 個人ではなく、個性を作ったのが、こちら。

マチ姉さんの妄想アワー (上) (ぶんか社コミックス)

 安堂友子「マチ姉さんの妄想アワー」

media.comicspace.jp

おおきな枠としては、姉が幼い弟に語るおとぎ話なのですが、

メインはその改変された物語。

 

もし、鶴の恩返しのツルが機織りが苦手だったら?

白雪姫の魔女が努力家だったら?

人魚姫の声とひきかえにつけてもらった人間の足・・・

あれって、どこから来た?

物語が終わったから言えるツッコミや、意外なつながり。

しっかり笑えて楽しめる、新しい解釈です。

 

コミケ童話全集

おのでらさん「コミケ童話全集」

 

もしコミケ参加者が童話の主人公だったら――。童話の主人公たち(?)がコミケをめぐって繰り広げる、抱腹絶倒シュールギャグ!

comic.pixiv.net

 「オタク文化の中で生きる童話の登場人物たち」を描いた、
愛と情熱の物語です。

ddnavi.com

 この中で漫画や小説を書く人がいて、買う人もいて、
コミケに集まった中から交流が生まれて、
また新しい物語がはじまっていく。

基本的にみんなポジティブなので読んでいて楽しいです。

とまどい、あわて、衝撃を受ける・・・

なんともいえない表情がいい。

裏話によれば、

「キャラクター同士お互いリスペクトしている関係が好き」とあって、

ストレスのなさはそういうところからきているのかな、と思いました。