唐桃の読んだもの。

読んできた本や漫画を、徒然に紹介していきます。

科学者について書いた本を読みました。~かこさとし「科学者の目」、高野文子「ドミトリーともきんす」、STANDARDBOOKS

かこさとし「科学者の目」がおもしろかったので、

今日は科学者の本を紹介します。

新版 科学者の目 (単行本図書)

kakosatoshi.jpかこさとしは からすのパンやさんや、だるまちゃんとてんぐちゃんなどの

絵本でも有名な人なので、こんな絵も描くんだねえ、というのが

第一印象でした。名前のフォントも1人づつ変えている!

公式サイトには、「応用化学が専門であった工学博士、技術士(化学)の

かこさとしが、自らの科学者としての目で鋭く見つめ、人間としても

興味を抱いた古今東西の科学者を独自の視点で紹介します

とありましたが、読んでいると一人一人に敬意をもっているのが

伝わるようでした。

科学者たちが、どんな目で世界を見ていたのか。

何をしようとしたのか。

周りの人はどう見ていたのか。

1969年に朝日新聞日曜版に掲載されていたそうですが、

今読んでもおもしろく、未来を感じさせる本でした。

 

 この本を読むまで知らなかった人の中には、丹下ウメがいます。

unv.jwu.ac.jp具体的には上記リンクを見てほしいのですが、

こういう人がいたから、それからも続いていけるのだと思いました。

 

ドミトリーともきんす

高野文子「ドミトリーともきんす」

 

konomanga.jp

”科学する人たち”がいかにして科学の花を咲かせたかー

彼らの視線のゆくえを、ノートや黒板の計算の跡を、

そしてその言葉をたどること。

 

一組の母娘、とも子さんときん子さんが営む学生寮

「ドミトリーともきんす」。

時代や場所を超越したところで、

寮に住まう科学者のことばを紹介します。

 

科学者のことばは、感情的になりません。

自分が観察したものを書く。

実験の結果を書く。

そこには気持ちの入る余地はない・・・

けれども、気持ちがないわけではなくて。

知らなかったものを知ったときの驚きは、きっと楽しい。

 

気持ちを込めずに書く練習をした、とあとがきにあり、

一定の太さで書かれた絵も、また静かな楽しさに満ちています。

  

STANDARD BOOKS第1期(全8巻セット)

STANDARD BOOKS(第1期セット)

 

hon-hikidashi.jp

中谷宇吉郎本人のことは知らなくても、

娘である中谷芙二子の展示を見たことがあったり、

寺田寅彦を直接知らなくても、夏目漱石の本に名前が出てきたりと、

これまで読んだものや見たものとのつながりがあって、

おもしろいシリーズでした。

もちろん、出版社の方で今に通じるような内容を選んでくれていて、

専門的な文章ではないから理解できる、ということはあるのですが。

第2期、第3期と続いているので、これからも読んでいきたいと思います。

おじさんが活躍する本を読みました。~山下哲「カワイイもの好きな人々。(ただし、おじさんの部)」、本の雑誌編集部「本の雑誌 おじさん三人組が行く!」、斉藤洋「ぼくのおじさん」

以前、飲食店でアルバイトをしていたことがあります。

ある日、ガテン系のおじさんが定食を注文して、

手を合わせて「いただきます」と言ったときに「かわいい」と感じました。

 ギャップ萌というのか、おじさんが、一人で、きちんと挨拶をしている、

というところによさを感じたのかもしれません。

今日はそんな、ちょっとかわいいおじさんが出てくる本を紹介します。

 

カワイイもの好きな人々。(ただし、おじさんの部)

山下哲「カワイイもの好きな人々。(ただし、おじさんの部)」

もともとはサイトの記事で、

書籍はそこから抜粋されたものです。

 

www.1101.com

メダカが好きで育てている。

ファッションドール、ブライスが好きで服を作っている。

動物のイラストを書いている。

うさぎを飼っている。

自分が好きなかわいいものについて、いろんなおじさんが話す、

愛を堪能できる本でした。

そして読んでいるうちに、話している人も、

だんだんかわいく見えてきます。

 

ぼくのおじさん (偕成社おたのしみクラブ)

斉藤洋「ぼくのおじさん」

 

10年前行方不明になったトモオおじさんが、不意に日本に戻ってきた。

インドでヨガの修行をしていたらしい。

ジョッキーになりたい那生と、トラになりたかったおじさんの夏休みを

描いた本です。

 

このおじさん、地図を見るのが好きなんです。

物語の中でも、実際に行かない場所でも想像して楽しんだり、

交通網がくわしく載っている地図を、普通の地図と見比べて

ここからここにはこうやっていくと近道だな、と考えるのが

おもしろいと言っていましたが、

実際に、趣味としての地図読みを楽しんでいる人もいるようです。

ここにもまた、知らない世界が。

 

www.tfm.co.jp

asayoru.net

本についての知らない世界を見せてくれる本が、こちら。

本の雑誌おじさん三人組が行く! (別冊本の雑誌18)

本の雑誌編集部「本の雑誌 おじさん三人組が行く!」

 

 平均年齢45歳の3人が、出版業界に関するあちらこちらを訪問する記録です。

おしゃれなブックカフェに行くところからはじまり、

国土地理院で地図や地球儀を冷やかしたり

出版社を訪問するついでに

近くにある昼飯屋さんを紹介してもらったり、

文学フリマSF大会に行ったり、

ブックオフでのせどりのやりかたを教えてもらったり。

社会見学、探検日記、珍道中。言い方はいろいろですが、

仲間同士でわいわいやっているようなノリって好き~。

 

note.comそして後書きでは、当時の経営危機についても書かれていて、

買って応援しよう・・・という気持ちになりました。

砂丘を書いている本を読みました。~恩田陸「不連続の世界」、林明子「こんとあき」、植田正治「砂丘 La Mode」

これまで、鳥取砂丘に2回行ったことがあります。

正面入り口というか、一番人がたくさんいるところというか、

バス停「鳥取砂丘」のそばから入ったのが最初。

2回目はそこからちょっと離れた、防風林から。

松林の中には人もほとんどいなくて、砂の上を歩いていくと

そのうち地平線が砂となり、いまにもその向こう側から

得体の知れないものがあらわれるんじゃないか、という

心許ない気分になりました。

 

もちろん鳥取砂丘のことは、以前から知っていましたが、

行きたいと思ったのは、この本を読んでからです。

不連続の世界 (幻冬舎文庫)

恩田陸「不連続の世界」

 

夜行列車の旅の途中、友人は言った。

「俺さ、おまえの奥さんは、もうこの世にいないと思う。

おまえが殺したから」

『月の裏側』の塚崎多聞、再登場! これが恩田陸版トラベルミステリー!

 

主人公、塚崎多聞を共通とした連作短篇で、

鳥取砂丘が出てくるのは、この中の「砂丘ピクニック」です。

 

歩いても、歩いても、進まない。

視界の中の景色がちっとも変わらないのだ。

 

という文章が心に残っていたのですが、

実際に歩いてみると、本当に遠近感が狂いそうでした。

歩いても砂、丘を越えても砂、ときどき草。足跡が風で消えていって、

どのくらい歩いたかわからなくなります。

作中には、夜の砂丘についても書かれていて、

また行ってみたく思いました。

砂丘では星空の観測も行われているようです。

日本一美しい星空が見える鳥取県。神秘的な、夜の砂丘へ。

 

そんな砂丘は、絵本にも登場します。

こんとあき (日本傑作絵本シリーズ)

林明子「こんとあき」

 

狐のぬいぐるみ、こん。

あきが生まれたときから一緒です。

ある日、右腕をけがしたこんが、砂丘町にすんでいる

おばあちゃんのところに腕をなおしてもらいにいく・・・という話で、

あきの着てる服がちょっとだぼついているところとか、

列車の窓ガラスに頬をくっつけるところとか、

細かい描写について、すごく意識していると思いました。

www009.upp.so-net.ne.jp

表紙についても、驚きます。

allabout.co.jp

 

そして砂丘といえば、この人。

砂丘 La Mode

植田正治砂丘 La Mode」

www.shojiueda.com

made-in-wonder.com砂丘にたたずむスーツの男達。

ぽつんとおかれた帽子。いくつもの影。散らばるトランプ。

そんな異空間めいた雰囲気に惹きつけられました。

鳥取砂丘は炎天下、

「紺青の空や海に対比して、ピンク色に見える」そうです。

また行きたいですね。

安全運転をしたくなる本を読みました。~東野圭吾「天使の耳」、梶研吾・樹崎聖「交通事故鑑定人 環倫一郎」、伊坂幸太郎「ガソリン生活」

乗用車について、ほとんど知識がありません。

車のメーカーを知らない、分類を知らない、

最寄りのガソリンスタンドがどこにあるかは知っていても、

ハイオクとレギュラーがどう違うのかを知らない。

知識がないとどうなるかというと、

車について解像度が低くなるというか、認識がすごく雑になります。

だから私の中での車の分類は、

4人くらい乗れるのと、8人くらい乗れるのと、

あとはバスやトラック・・・というくらいで、車が好きな人には

怒られそうなのですが、そんな私でも免許を持っていて、

しようと思えばいつでも運転できると思うとぞっとします。

今日は、交通事故がおこる本を紹介します。

天使の耳 (講談社文庫)

東野圭吾「天使の耳」

深夜の交差点で衝突事故が発生。信号を無視したのはどちらの車か!?死んだドライバーの妹が同乗していたが、少女は目が不自由だった。しかし、彼女は交通警察官も経験したことがないような驚くべく方法で兄の正当性を証明した。日常起こりうる交通事故がもたらす人々の運命の急転を活写した連作ミステリー。

 

「東野圭吾公式ガイド」によれば、自分の

「交通マナーへのこだわりがいろんな形で反映されている」

本だそうです。

 

密かな努力が意外な形で結果を出す、犯人への因果応報感

あふれる「捨てないで」や、煽り運転を扱った「危険な若葉」が

印象に残りました。

2019年の交通事故は全国で38万件、そのうち死者は3千人。

自分がいつ、その1人になるかもわからないものだと思いました。

www.itarda.or.jp

交通事故鑑定人 環倫一郎 1

梶研吾・樹崎聖「交通事故鑑定人 環倫一郎」

 

これを読んで、交通事故鑑定人という職業を知りました。

交通警察とはまた別なんですね。

元レーサーの環倫一郎が、カリフォルニアを主な舞台に、

車の破損やタイヤの跡など、現場の違和感から

そこで何がおこったのか、交通事故の真実を暴きます。

客観的な事実を元に、理詰めでその時何が起こったのか

納得させていく様子は、理系ミステリともいえるかも。

単行本のおまけページを見るに、作者も車が好きなようです。

 

事故を起こしたら運転する人もショックだけど、

運転される車の方もショックなのだろう。

そう思ったのは、この本を読んでからです。

ガソリン生活

伊坂幸太郎「ガソリン生活」

聡明な弟・亨とのんきな兄・良男のでこぼこ兄弟がドライブ中に乗せたある女優が、翌日急死! 一家はさらなる謎に巻き込まれ…!? 車同士が楽しくおしゃべりする唯一無二の世界で繰り広げられる仲良し家族の冒険譚! 愛すべきオフビート長編ミステリー。

あらすじにもあるように、この物語の語り手は車なのです。

とはいえ、勝手に動くことはできない。

それが誰であろうと、運転手の指示に従うほかない。

車ができるのは、「排気ガスがとどくくらいの範囲にいる」他の車と

話して、思いを巡らすことだけ。

 

第48回:主人公はマツダ・デミオ!

 伊坂幸太郎の仰天クルマ小説 − 『ガソリン生活』

 

「事故を起こした車は、少なからぬショックを受けるものだ」(p14)

「人間が危険な運転をしている際、車はたいがい目を瞑り、

気絶しているのだ」(p43)

など、車視点で語られる自分たちの話にはリアリティを感じて楽しく、

車の運転で言えば、「人間は二つのことを同時にできない」という

部分が印象にのこりました。

実験するまでもなく、僕たち自家用車はみんな、知っている事実だ。携帯電話で話をすることはできる。そして、携帯電話で話しをしながら、運転することもできる。ただ、携帯電話で話しながら運転をしていると、横から飛び出してきた自転車には対応できない。(p215)

ダイアナ妃の死亡事故、隣人の趣味、通りすがりの車と運転者・・・

 小さなエピソードが絡まりあって、

静かに謎が開かれてていくような感じがありました。

フクロウについて書かれた本を読みました。~パカチャン「フクロウ、検討中」、 げんさん・黒須みゆき「もふもふフクロウ ガルーさんの休日」、真木広造「日本の梟」

10年ひとむかし、というならふたむかし前のころ。

中居正広のボクらはみんな生きている」というTV番組がありました。

動物をメインにしたクイズ番組で、

そこでフクロウについての問題が出ていたのを覚えています。

 

Q.暗い中でも、フクロウやミミズクが木にぶつかったりしないのは

耳に特徴があるから。それは何か。

(1)耳が大きいから 

(2)耳の穴の場所が左右で違うから 

(3)耳の穴がたくさんあるから 

という問題があって、たくさんの耳の穴を想像して

ぞっとしたのを覚えていますが、はじめてフクロウという鳥を意識した

ときは、そこだったのかもしれません。

今日は、フクロウについて書かれた本を紹介します。

 

フクロウ、検討中。 (マンガハックPerry)

パカチャン「フクロウ、検討中」

漫画とか小説とかアニメとか歌とか、ジャンルはさまざまですが、

不意に自分の中に作品がすとんと落ちてくるようなことがあります。

その日のうちに既刊本を全部買ったり、

アルバムを聞けるだけ聞いたりする、

それまでの自分と別物になったような。

それが、この人はフクロウでおこったんだな、と思いました。

 

ただ単純にフクロウを飼いたいと思ったド素人が

煩悶しながら飼うか飼わないか決める物語

 

とも本文にありましたが、

飼うまでの行動力の物語、とも言えると思いました。

まずは都内のフクロウカフェを全制覇しよう! 

からくるところがいい。

今住んでいる場所ではフクロウを飼えない。それなら引越しだ。

許可のあるマンションはあまりない。・・・ローン、組むか? 等々、

イメージトレーニングをしたり、

引越の日取りを気にしたり、

名前をつけるのに姓名判断をしたり、

そこまでするスイッチが入ったのが、この人にとっては

フクロウだったのだと思うと、人生どうなるかわかりませんね。

 

捨てられていた猫を拾って飼うことになる、という話は聞きますが

フクロウはその辺りを飛んでいるわけじゃなく、

自分で、お金を払って、誰かから買わないと手に入りません。

だから作者は考えます。

調べて、選んで、悩みます。

そうして決断します。

フクロウとの生活が長く続けばいいと、思うようになる本でした。

 

漫画の中では、フクロウを飼っている人の本や

アカウントも紹介されていて、動画や写真を楽しみました。

その1冊がこちらです。

もふもふフクロウ ガルーさんの休日

 げんさん・黒須みゆき「もふもふフクロウ ガルーさんの休日」

 

hon-hikidashi.jpなによりガルーさんがかわいいです。

生後間もないときの様子も、

人の近くにいるからみられる懐きようも、

ひなたぼっこや散歩の様子も、 愛されてる感じが満載でした。

 

そして野性のフクロウもまた違った魅力があります。

日本の梟

真木広造「日本の梟」

北海道から沖縄まで、日本に住む梟を

野鳥撮影の第一人者である著者が撮影した写真集です。

 

表紙のようにまだ羽がポワポワしているころから、

飛んでいるところ、木に止まっているところ、

目を細めてあくびをしているところなど、

フクロウはいろんな表情をみせるんだなあと思いました。

意外としっかりした足でネズミをわしづかみにするところには、

肉食動物であることを実感します。

北海道が舞台の本を読みました。 ~佐々木倫子「動物のお医者さん」、宮下奈都「羊と鋼の森」、沙村広明「波よ聞いてくれ」

初めて静岡を知ったのはちびまる子ちゃんで、

春日部を知ったのはクレヨンしんちゃんで、

北海道を形作ったのは動物のお医者さんです。

どれも小学生のときに読んだものなので、

つくづく最初に読んだものは、印象に残るものだと思います。

 

動物のお医者さん 愛蔵版 コミック 1-6巻セット (花とゆめコミックス)

 佐々木倫子「動物のお医者さん」

H大学受験前、その構内に足を踏み入れたときから、

ハムテルの運命は決まっていた――。

コワイ顔でも心優しいシベリアンハスキーのチョビ、

姉御肌の猫・ミケ、暴れん坊ニワトリや超個性的な

大学の面々に囲まれて、獣医師への門は開かれた――!!

 

 コミックス、文庫版、上の画像の愛蔵版と

バージョンは複数ありますが、

文庫版が解説も合わせて好きです。

綾辻行人が解説を書いていた巻もあって、

それが後々の「月舘の殺人」を生んだのかな~。

 

シベリアンハスキーはこんな顔なのか・・・

犬も熱中症になるのか・・・

よいサイレージはオレンジの匂いがするのか・・・

文部省は予算をくれないものなのか・・・

など、いろんなファーストインプレッションがありました。

 

羊と鋼の森 (文春文庫)

宮下奈都「羊と鋼の森」 

高校生の時、偶然ピアノ調律師の板鳥と出会って以来、

調律の世界に魅せられた外村。

ピアノを愛する姉妹や先輩、恩師との交流を通じて、成長していく

青年の姿を、温かく静謐な筆致で綴った感動作。

books.bunshun.jp

恋愛抜きの少女マンガみたいだな、と思いました。

少女マンガって、主人公が周りの人と関わって成長していく要素も

強いと思うので。

 

自分で弾くのではなく、誰かに弾かれる音を作る

調律に惹かれた主人公。

 主人公も、その周りの人も、仕事に、

それはつまり、楽器店の、ピアノの調律の、

ひいては音楽について誠実だと思いました。

敬虔とは、こういう時に使うことばなのかもしれません。

 吐く息が凍り、まつげが凍り、

うっかり口を開ければ喉の奥の気管まで凍ってしまう。

皮膚を刺されるような痛み。

というマイナス30度の寒さの描写は、

著者も北海道に住んでいたからかな、と思いました。

「神さまたちの遊ぶ庭」では、

一家がトムラウシで暮らした1年間が書かれていて、

こちらもおもしろかったです。

 

そんな北海道は広く、

同じ場所を舞台にしていても、ものによってはノリが全然違います。

波よ聞いてくれ(1) (アフタヌーンコミックス)

沙村広明「波よ聞いてくれ」

舞台は北海道サッポロ。主人公の鼓田ミナレは

酒場で知り合ったラジオ局員にグチまじりに

失恋トークを披露する。

すると翌日、録音されていたトークがラジオの生放送で

流されてしまった。激高したミナレはラジオ局に突撃するも、

ディレクターの口車に乗せられアドリブで

自身の恋愛観を叫ぶハメに。

この縁でラジオ業界から勧誘されるミナレを中心に、

個性あふれる面々の人生が激しく動き出す。

まさに、波よ聞いてくれ、なのだ!

 

www.moae.jp札幌に行ったときに、藻岩山へむかうバス停があって、

 自分がいる世界と漫画の世界がつながる感覚をもちました。

  普通にいい人、が全然出てこないところが好きです。

全員クセが強い。そして次から次へ驚くようなことがおこり、

想像した展開にはなりません。

主人公の知らないところでもいろんなことが起こっていて、

これからが楽しみです。

 

「波よ聞いてくれ」原作者・沙村広明先生インタビュー前編「働く女性と恋愛の話を描こうと思っていました」 | WebNewtype

 

放送事業としてラジオがテレビに勝ってる部分が

あるとすれば 4つ

「地域密着性」そこからくる「災害の対応力」「早さ」

そして「自由」だ(3巻、p141)

お酒とおいしいものの本を読みました。~北森鴻「蛍坂」、石持浅海「Rのつく月には気をつけよう」、菅野彰「おうちごはんは適宜でおいしい」

ようやく涼しくなってきたこのごろ、

おいしいお酒と食事の本を紹介します。

螢坂 (講談社文庫)

北森鴻「蛍坂」

 

 

「この街で、オレを待ってくれる人はもう誰もいない」

戦場カメラマンを目指すため、恋人・奈津実と別れた螢坂。

16年ぶりに戻ってきた有坂祐二は、その近くのビアバー

「香菜里屋」に立ち寄ったことで、奈津実の秘められた

思いを知ることになる(表題作)。

マスター・工藤が、客にまつわる謎を解き明かす第3弾。

 

三軒茶屋駅から路地を縫うように歩くこと五分あまり」

そこに、ビアバー香菜里屋はあります。

シリーズでは「花の下にて春死なむ」「桜宵」に続く3作目ですが、

単体でも楽しめます。

 

度数の違う4種類のビールと、おいしい料理。

そしてワインレッドのエプロンを身につけたマスターが、

客の会話からはじまる謎を解き明かし、

ときにほろ苦く、ときに希望を持った余韻が残ります。

 

お店ではなく、家で飲み、食べるのがこちら。

Rのつく月には気をつけよう (祥伝社文庫)

石持浅海「Rのつく月には気をつけよう」

湯浅夏美(ゆあさなつみ)と長江高明(ながえたかあき)、

熊井渚(くまいなぎさ)の3人は、大学時代からの飲み仲間。

毎回うまい酒においしい肴(さかな)は当たり前。

そこに誰かが連れてくるゲストは、定番の飲み会に

アクセントをつける格好のネタ元だ。

今晩もほら、気持ちよく酔いもまわり口が軽くなった頃、

盛り上がるのはなんといっても恋愛話で……。

ミステリーファン注目の著者が贈る傑作グルメ・ミステリー!

 

生ガキとシングルモルト

チーズフォンデュと白ワインなど、おいしそうな取り合わせが

たくさん紹介されています。

チキンラーメンとビールなら、手軽に楽しめそう。

 

表向きは人畜無害な料理上手、

その実「悪魔が裸足で逃げ出すほどの」頭脳の持ち主、

長江を探偵役にゲストの持ち込む謎を解決していきます。

得られた情報による合理的な結果と、それによる前進が

未来を感じさせます。

 

こちらも家で飲み食いする本ですが、

もっぱら合わせる物は日本酒です。

おうちごはんは適宜でおいしい

菅野彰「おうちごはんは適宜でおいしい」

東北生まれの酒飲み作家が、地産地消で作るつまみ飯!! 

美味しいものには手間隙惜しまない 

著者が描く極上エッセイ♥

 

a-plus2.a-linkweb.co.jp

会津在住の著者が、東北の食材をお取り寄せ。

地元の日本酒と一緒に、おいしく食べる様子を書いていきます。

海のものはもちろん、山のものもおいしいのですね!

 

このおいしさを多くの人に知ってもらいたい、と

著者が代表に手紙を書き、エッセイを書かせてほしいと

直談判する・・・というはじまりに、

幸せな出会いという言葉が浮かびました。

 

著者のエッセイには、よく飲みよく食べる描写があって

印象に残るのですが、おいしいものを食べると、

自然と食べることも好きになるのかな、と思いました。

震災後の東北についても、ちょっと知ることができます。