唐桃の読んだもの。

読んできた本や漫画を、徒然に紹介していきます。

砂丘を書いている本を読みました。~恩田陸「不連続の世界」、林明子「こんとあき」、植田正治「砂丘 La Mode」

これまで、鳥取砂丘に2回行ったことがあります。

正面入り口というか、一番人がたくさんいるところというか、

バス停「鳥取砂丘」のそばから入ったのが最初。

2回目はそこからちょっと離れた、防風林から。

松林の中には人もほとんどいなくて、砂の上を歩いていくと

そのうち地平線が砂となり、いまにもその向こう側から

得体の知れないものがあらわれるんじゃないか、という

心許ない気分になりました。

 

もちろん鳥取砂丘のことは、以前から知っていましたが、

行きたいと思ったのは、この本を読んでからです。

不連続の世界 (幻冬舎文庫)

恩田陸「不連続の世界」

 

夜行列車の旅の途中、友人は言った。

「俺さ、おまえの奥さんは、もうこの世にいないと思う。

おまえが殺したから」

『月の裏側』の塚崎多聞、再登場! これが恩田陸版トラベルミステリー!

 

主人公、塚崎多聞を共通とした連作短篇で、

鳥取砂丘が出てくるのは、この中の「砂丘ピクニック」です。

 

歩いても、歩いても、進まない。

視界の中の景色がちっとも変わらないのだ。

 

という文章が心に残っていたのですが、

実際に歩いてみると、本当に遠近感が狂いそうでした。

歩いても砂、丘を越えても砂、ときどき草。足跡が風で消えていって、

どのくらい歩いたかわからなくなります。

作中には、夜の砂丘についても書かれていて、

また行ってみたく思いました。

砂丘では星空の観測も行われているようです。

日本一美しい星空が見える鳥取県。神秘的な、夜の砂丘へ。

 

そんな砂丘は、絵本にも登場します。

こんとあき (日本傑作絵本シリーズ)

林明子「こんとあき」

 

狐のぬいぐるみ、こん。

あきが生まれたときから一緒です。

ある日、右腕をけがしたこんが、砂丘町にすんでいる

おばあちゃんのところに腕をなおしてもらいにいく・・・という話で、

あきの着てる服がちょっとだぼついているところとか、

列車の窓ガラスに頬をくっつけるところとか、

細かい描写について、すごく意識していると思いました。

www009.upp.so-net.ne.jp

表紙についても、驚きます。

allabout.co.jp

 

そして砂丘といえば、この人。

砂丘 La Mode

植田正治砂丘 La Mode」

www.shojiueda.com

made-in-wonder.com砂丘にたたずむスーツの男達。

ぽつんとおかれた帽子。いくつもの影。散らばるトランプ。

そんな異空間めいた雰囲気に惹きつけられました。

鳥取砂丘は炎天下、

「紺青の空や海に対比して、ピンク色に見える」そうです。

また行きたいですね。