2017年は夏目漱石生誕150周年だそうで、
いろんなところでそれにちなんだイベントが行われていました。
この本も、その企画として出版されたものです。
この本の著者2人は、定期的に
「文芸漫談」というライブイベントを行っています。
あらすじをたどりつつ、ツッコミどころがあったら存分に
突っ込んで、いいところは褒めちぎる。
こういう読みもあるのか、と興味をかきたてます。
この本では、タイトルどおりに夏目漱石の小説について話していて、
これをきっかけに「行人」を読み返しました。
初めて読んだときは、話の筋を追うだけで精一杯で、
内容を楽しむ点から言ったら、初めて読むようなものでした。
「行人」は「こころ」の前にかかれた小説だそうで、
人物関係にもそれを思わせるものがあります。
「ディスコミュニケーションの問題は、漱石の小説に必ず出てくる問題」
と、漱石漫談でも書かれていました。
夫婦でもきょうだいでも、わかりあえない。
そのもどかしさであったり、いらつきであったり、
また、伝えることもしないで不満に思うのは傲慢じゃないかっていう
ことだったり、いろんな視点から読める余地があるから、
100年たっても読まれているのだと思いました。
本筋とは関係ないのだけど、印象に残ったところに、
語り手の二郎がお見合いみたいなことをするシーンがありました。
まあ当時のお見合いだから直接話すわけでもなく、
姿をちらちら見るようなものなのですけど、
後でそれを親に知られて、その家の財産についてとか、
困った親戚はいないかとか、
悪い病気の血筋ではないかとしつこく聞かれてうんざりする・・・
という。
そういうことは100年前からのあるあるだったのだなあ、と
妙に感慨深く思いました。
そして夏目漱石、いや金次郎については
こちらを読むといっそう楽しく知ることができます。
先生と僕 1‐夏目漱石を囲む人々‐ (MFコミックス フラッパーシリーズ)
- 作者: 香日ゆら
- 出版社/メーカー: KADOKAWA/メディアファクトリー
- 発売日: 2010/11/18
- メディア: コミック
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小説家の夏目漱石と、その周りの人々についての
エピソードが中心なのですが、
英語の夏目先生であったり、
同じ学校の金次郎であったり、
あるいは夫や親であったりと、
いろんな立場の「漱石」を見られます。