大きさが整わない、書いているうちに中心がずれていく、
線がまっすぐ引けない。
自分がそうなので、字をきれいに素早く書ける人には憧れます。
しかし世の中には、綺麗ではないけど味のある、
真似したくなるような文字もあり、
手書きの文字がその人の個性を表していることも多くあります。
ちょっと気になっていたので、
今日は文字を書くことについての本を紹介します。
ペン字の練習帳や本を試し、ペン字教室で指導を受ける。
作家や政治家、野球選手の文字を検証。
いろんな人とのインタビューを通して、
味のある、「いい感じの」文字をめざしていく本です。
各章の扉に、著者の書き文字が載っているのですが、
文字が変化していくのがはっきりわかります。
◇
文字の基本、というのか元祖というのか、
ペンよりもずっと長いこと使われているわけだから
伝統があるというのか、
とにかく書道についての本では、こちらがおもしろかったです。
年賀状や手書きの原稿など、文字をテーマにしたエッセイと、
2年間にわたる書道の稽古の様子。
行書、草書、臨書、漢字かな交じり文と、
名のある人の文字を見て、教わり、自分でも書いていきます。
教えるのは、大東文化大学の河内君平先生。
done-labo.com対談で、作者がこの先生に
「書で人間性や人格って分かるんですか?」と聞いて、
人間性はよくわからない、だけど教養は出るんです。
と答えていたのが印象に残りました。
活字やフォントでも、印象に残る使い方をしていたり
オリジナルのフォントを作っている人はいるけれど、
使い方によって個性が現れるのかもしれません。
◇
そんなフォントとは正反対のところにある、
くせ字についての本がこちらです。
芸術家・岡本太郎が、著書で
「『美しい』は『きれい』とは全く違う」と言っていますが、
私も「美しい」という言葉を、きれいに整ったという意味ではなく、
そのものからなにかを感じて心に響くこととして使いたいと思います。
そんな美しい、くせ字の数々をぜひご覧ください。
ここで紹介されている文字は、著者が集めた文字。
松本人志がTV番組でフリップに書いた文字、
映画の字幕に使われていた文字、
道に落ちていたノートの文字、書道家の文字、
アートのような文字、韓流アイドルの書く文字、
新聞記者が取材で書くメモ・・・
書いた誰か、その時の時間を感じます。
自分の顔がその人だけのものであるように、
自分が書く字もその人だけのものなんだな、と思いました。