唐桃の読んだもの。

読んできた本や漫画を、徒然に紹介していきます。

霜月蒼「アガサ・クリスティー完全攻略」、東野圭吾「あなたが誰かを殺した」、横溝正史「赤い水泳着」

最近、クリスティーを読んでいます。

学生の頃にも数冊読んではいたのですが、

霜月蒼のアガサ・クリスティー完全攻略で興味がわき、

読んでは おもしろいな? と思っています。

「鏡は横にひび割れて」では、犯人にも被害者にも共感はしないのだけど、

それまでの描写で、この人ならそうするなと納得できてしまって、

「アクロイド殺し」では、全然知識のない状態で読みたかった! と思って

(登場人物が麻雀をしているところにちょっと驚きました)、

これから読み進めるのが楽しみです。

 

www.hayakawabooks.com

古典ミステリとしてではなく、

今書かれた小説としてクリスティの全作品を読み、

1つ1つを評価していく、この本もすごい。

 

クリスティーといえば、東野圭吾「あなたが誰かを殺した」でも、

そんな雰囲気を感じました。

事件が終わった後で、探偵役が推理を頼まれるところであったり、

事件解決と思わせて実は…というところだったり。

でも、クリスティーだったら犯人は自殺していたかも。

 

本編とは全然関係ないのだけど、

「牝豹」って言葉は、相手を侮辱する表現として普通に使われているのか? とは思いました。

言われた方はきょとんとしないかな?

 

横溝正史の「赤い水泳着」は、「舗道の血痕」(火曜クラブ収録)と

ストーリーがあんまり似ていて、思わず発行年を検索してしまいましたが、

Wikiでは1年ほどの違いしかなくて、ひょっとしたら翻案なのか、

それとも偶然なのか、とそういう意味でも興味の惹かれる話でした。

「赤の中の女」というタイトルで、金田一耕助の事件にもなっているそうなので、

そちらも読んでみましょう。

このシリーズは、これまで文庫に未収録だった戦時下の作品を集めたもので、

金田一以外での横溝正史を見られます。

弁護士が活躍する話。~「逆転裁判」、芦辺拓「森江春策の災難」

最近、こたけ正義感さんの実況「逆転裁判」を、少しづつ見ています。

弁護士免許を持っている人なので、本職ならではの話も入って、

キャラクターのアテレコも雰囲気があって、

ゲームを楽しんでいることが伝わり、見ている方も楽しくなります。

 

www.youtube.com

と、動画を見ていたところ、

たきりょうこの漫画に成歩堂風の人が出てきて、

弁護士のイメージとして強いものがあるのだと思いました。

shinwazenki.com

この、親和全期会というのは

東京弁護士会内の司法修習終了15年以内の若手の会」だそうです。

 

弁護士といえば、こちらのシリーズがおすすめ。

芦辺拓「森江春策の災難」

《森江法律事務所》にかかってきた敏腕女性検事・菊園綾子からの電話は、花村カオルという札付きのワルが身辺をかぎ回っているようだから気をつけろと警告するものだった。その数分後、コート姿の怪しい人物が《森江法律事務所》に入ってゆき、直後に死体で発見される。果たして、森江春策の事務所でいったい何が起きたのか? 一風変わった犯人当てである表題作をはじめ、森江春策がヘンリー・メリヴェール卿と共演する「密室法廷」や神津恭介、星影龍三とともに密室について語り合う「架空座談会」、鉄人28号の物語世界へと読者をいざなう「寝台特急あさかぜ鉄人事件」、舞台劇の脚本として書き下ろされた「探偵が来なけりゃ始まらない——森江春策、嵐の孤島へ行く」など、日本一地味な探偵・森江春策が活躍する十三編の異色な事件簿! 「年譜・森江春策事件簿〔第二版〕」も特別収録!

 

「日本一地味な探偵の華麗な事件簿」と表紙に書いているように、

この弁護士兼素人探偵は、誰かに面倒を見てもらわないといけないような

社会性のない天才ではありません。

まっとうな正義感と常識を持つ社会人なので、

異様な事件も安心感をもって楽しむことができます。

 

最近ヴァン・ダイン「ベンスン殺人事件」を読んでいますが、

マチュア探偵ファイロ・ヴァンスの友人として地方検事が登場しました。

まだ最初の方ですが、続きが楽しみです。

証券会社の経営者ベンスンがニューヨークの自宅で射殺された事件は、有力な容疑者がいるため、解決は容易かと思われた。しかし捜査に、尋常ならざる教養と才気をもつファイロ・ヴァンスが加わり、事態は一変する。物的・状況証拠を否定するヴァンスが用いる、心理学的推理とは? 巨匠のデビュー作にして、米国本格ミステリ黄金時代の幕開けを告げた記念碑的傑作、新訳で登場。

ジョージアという国について。~黒田龍之介「世界のことばアイウエオ」、川上弘美「東京日記7 館内すべてお雛さま。」

ジョージアコーヒーもありますが、これはアメリカのジョージア州のこと。

今回紹介するのは、2015年までグルジアと言われていた国のことです。

www.mofa.go.jp

 

私がジョージアについて意識したのは、黒田龍之介の「世界のことばアイウエオ」でした。

100の言語をアから紹介していくエッセイで、

世界にはたくさんの言語があるのだと教えてくれます。

ワインについてはじまって、グルジア文字は唐草模様のような形をしている、

大文字と小文字の区別がない、そして文法が手ごわい、と書かれていました。

この本では「グルジア語」表記でしたが、

新しい版が出たら「ジョージア語」表記になるかもしれませんね。

wine.localwinds.jp

そのあとにDPZで、ジョージアについての記事を読み、

ごはんもお酒もおいしそうだな、いろいろあったのだろうけど行ってみたいな、

と思いはじめました。

dailyportalz.jp

dailyportalz.jp

当時使っていたOisixでも、ジョージアの料理の一つシュクメルリを作れるキットを

販売していて、それがおいしかったり、

たまたま読んでいた川上弘美「東京日記7 館内すべてお雛さま。」

でもジョージアのことが出てきたり。

七月某日、友だちからジョージアのタマダの認定を受けました、と

連絡が来るのです。

タマダとは、宴会の進行役のこと。

上記の記事では、「信頼してまとめる力のある人」が選ばれるとありました。

 

こんな本も出版されるそうですね! 

今年はジョージアづいているのかもしれません。

 

おなかの話を読みました。~島袋全優「腸よ鼻よ」、頭木弘樹「食べることと出すこと」、内田春菊「がんまんが 私たちは大病している」~

久しぶりの更新です。

おもしろい本はたくさんあっても、今年はなかなか記事をかけなかったので

来年はもうちょっと頻繁に更新していきたいところです。

島袋全優「腸よ鼻よ」

漫画家を夢見るティーンエイジャー島袋全優は、原稿とバイトに明け暮れる毎日を送っていたが、いつしかトイレに行くたび便器が血まみれスプラッター状態に。はじめは腸炎と診断されるものの入院治療でも一向に容態は回復せず……改めて検査を受けてみると実は腸炎ではなく難病特定疾患潰瘍性大腸炎」だった!? 「取材」と称して入退院を繰り返し、片手にGペン、片手に点滴を携えたエキスパート患者の筆者が、発病した学生時代から商業デビューを果たして漫画家になってからも続く闘病生活の実体験をもとに明るく描く奇跡のギャグコミックエッセイ。読後、貴方はこう思うはず……「セカオピ、めちゃくちゃ大事」。

 

「あたし 大腸がないの」という台詞から始まるこの漫画。

原因不明の難病で入院生活をくりかえす日々をつづったエッセイコミックです。

作者は寛解、退院して、物語も全10巻で今年完結しました。

 

退院したと思ったら緊急入院するような、急に変化する病気のことも、

日常のことも、家族や友人のことも、パロディ満載で愉快に描かれています。

沖縄についてもちょっと知ることができました。

おせちに天ぷらや厚揚げが入っているとか、東京との距離感とか。

 

腸にやさしいレシピもたくさん紹介されています。

 

頭木弘樹「食べることと出すこと」

「人間なんてしょせん食べて出すだけ」。なるほど。ではそれができなくなったらどうする――個性的なカフカ研究者として知られる著者は、潰瘍性大腸炎という難病に襲われた。食事と排泄という「当たり前」が当たり前でなくなったとき、世界はどう変わったのか? 高カロリー輸液でも癒やせない顎や舌の飢餓感とは? ヨーグルトが口腔内で爆発するとは? 茫然と便の海に立っているときに看護師から雑巾を手渡されたときの気分は? 切実さの狭間に漂う不思議なユーモアが、何が「ケア」なのかを教えてくれる。

 

同じ病気を描いたものでも、こちらはまた印象が違います。

食べられるものがすごく少なくなることから、外界に対して拒絶的になり、

生きづらくなるということや、

病人にはこうあってほしい、という無意識の願望について。

休みのない病気というものへの患者の抵抗。

いろんなことを考えずにはいられなくなる本でした。

 

book.asahi.com

honz.jp

 

内田春菊「がんまんが 私たちは大病している」

革命的育児漫画「私たちは繁殖している」や幾度もテレビドラマ化された「南くんの恋人」など多数のヒット作を飛ばしている漫画家・内田春菊に、2015年突如大腸がんとの告知が……! 発覚から入院・手術に至るまでのドタバタないきさつ、抗がん剤の仕組みや副作用、わき起こる体や環境の変化、そして術前術後の子4人との激動の日々……。がんと真正面から向き合いセキララに描く、著者ならではの闘病コミックエッセイ!

 

続編の「すとまんが」「すとまとねことがんけんしん」と共に、

直腸がんがみつかり、手術からストーマ人工肛門)となり、

そうなってからの日々を描いた漫画です。

手を洗うと指先がすごく冷たくなるとか、大腸がんの抗がん剤は髪が抜けないとか、

全然知らなかったことがたくさん書かれています。

 

来年も、いろんなものを読んでいきたいと思いました。

 

dot.asahi.com

「ときめく鉱物展示」に行ってきました!~なかがわみどり・ムラマツエリコ「k.m.pの、石コロ、ぐるぐる。 石をめぐる小さな旅」

 

 

https://www.nature-sanbe.jp/sahimel/wp-content/uploads/2023/06/1-1.jpg

www.nature-sanbe.jp

 

前から気になっていた企画展に行ってきました。

雨で列車が止まってしまったため、ばたばたしてしまいましたが

三瓶山は星もきれいで、いろいろ体験講座もあるようなので

今度はゆっくりすごしたいですね~

 

www.ginzan-wm.jp

 

この企画展は、すごくよかったですよ・・・

大きい、綺麗、紫外線で光る、叩くと透き通った音が鳴る、など

いろんな特性を持った1つ1つの展示ももちろんですが、

「私の推し石」「石好きあるある」のメッセージが壁を埋めていて、

石に惹かれるひとはたくさんいるものだと思いました。

 

石のすごさは、スケールの大きさにもあると思うんです。

1つの中に途方もない、さざれ石が巌となるような時間が内包されている。

それがすごく大きかったり、いろんな色でキラキラしていたら、夢中にもなろうというものです。

もちろん科学館での展示なので、地層の説明や化学式なども書かれており、

私も学生の頃の授業を思い出しては、この2つの石は、見た目は全然違うけど

どっちもSiO2なんだ、ということなど思いました。

 

ところでこのSiO2、二酸化ケイ素の表記を見ると、

山本弘「私は十代の蜘蛛女だった」の中にあったエピソードを思い出します。

主人公が受けた科学のテストで、~は何でできているか答えさせる問題があった。

その中に水晶があって、友達は「水」と答えて間違えたという。

 

きれい、すごいで終わってもいいのだけど、

それだけではちょっと足りなくなってきた、そんなときにいい本がありました。

k.m.p(なかがわみどり・ムラマツエリコ)

「k.m.pの、石コロ、ぐるぐる。 石をめぐる小さな旅」

 

旅の達人k.m.p.が大好きな石コロの世界を案内! 鉱物と岩石の疑問から、面白実験、国内・海外の石スポットまで、写真たっぷりの美しい図鑑としても楽しめる1冊!
石が好きだけど難しいことはわからない、でもイラストや図解や写真でやさしく説明されているなら知りたい・読んでみたい人向けに、k.m.p.が「自分のように理科が苦手でも読み通せる石の本がつくりたい」という気持ちをコンセプトに描いたコミックエッセイです。(解説より)

 

そもそも石って、どこから石?

石が砕けてできた、砂も石? 砂が石なら、泥も石?

外聞かれてみたらわからない、そんな会話から、

河原にめのうを拾いに行ったり、街の中に使われている石を探したり、

これまでの旅行で印象に残った石や砂漠の写真が載っていたりと、

実体験に基づいた楽しさがたくさんある、いい本でした。

 

「宝石 地球がうみだすキセキ」を見てきました。~諏訪恭一「価値のわかる宝石図鑑」、吉本ばなな「SLY」 - 唐桃の読んだもの。 (hatenablog.com)

ビワについて書かれた本を読みました。~青木潤太朗、森山慎「鍋に弾丸を受けながら」、おいしい文藝「まるまる、フルーツ」

 

青木潤太朗、森山慎「鍋に弾丸を受けながら」

 

この漫画、好きです。

一期一会の出会いと、各地で食べたとびきりおいしいもののレシピの紹介、

愉快な物語とテンポの中に、時々個人ではどうしようもない危険と

それゆえの楽しさ、だからこそのおいしさが書かれています。

 

最新話は、主人公が小さいときのちょっと謎めいた出来事なのですが、

そのなかに不思議なビワが出てきます。

ほんのり甘くて、果汁が多くて、皮をむくのがちょっと楽しい、飽きない味ですよね~

なので今日は、ビワについて書かれたものを紹介します。

 

comic.webnewtype.com

その辺に生えているものを食べるって、

結構生まれ育った場所によって違いがある気がします。

場所によったらありえない、場所によっては大したことでもない。

私はイチイの実をよく食べていたけれど、

今住んでいるところだとほとんど生えていないないので時々思い出します。

 

tree-novel.com

矢崎存美のエッセイに、好きな果物の一つが、ビワなのだと書かれていました。

「湯治場のぶたぶた」にも、作中に自生のビワが出てくるそうなので、

読んでみたくなりました。近々買いましょう。

 

 

おいしい文藝「まるまる、フルーツ」

春の苺、夏の西瓜、秋の梨、冬の林檎。そのほか桃、さくらんぼう、マンゴー、ネーブルラ・フランスびわなどなど。42人の作家がフルーツについて腕をふるう「おいしい文藝」第9弾!

 

おりおり読んでいるシリーズです。

枇杷もちょこちょこ登場しているのですが、タイトルになっているのは

武田百合子枇杷」。

枇杷を食べていたら、夫もくれというので

「さしみみたいにうすく切って」あげたこと、歯のない口で一生懸命かんでいたこと、

つまんだその手、その指を夫の死んだ後に思い出すという、ほんの3ページながら

印象に残る文章でした。

 

この人の「犬が星見た ロシア旅行」は70年代に書かれたものなのだけど、

べたついてなくてクールで、新しささえ感じます。

 

bookjapan.jp

 

 

ジュースに関係する本を読みました。~コーラ小林「イチからつくるコーラ」、清水りょうこ「日本懐かしジュース大全」、ナンシー関「お宝発掘!」

 

コーラ小林「イチからつくるコーラ」がおもしろかったです。

甘くてさわやか、みんなが大好きなコーラ。じつはアメリカの薬局で販売された滋養強壮剤が始まり。でもコーラって自分でつくれるの?  「コカ・コーラ」のレシピは門外不出だけど、クラフトコーラなら大丈夫!  世界初のクラフトコーラ専門メーカー『伊良(いよし)コーラ』を創業したコーラ小林さんに教わって、スパイスやカンキツ類、砂糖でコーラシロップをつくってみよう。コーラをつくることで、炭酸水の誕生から、禁酒法第二次世界大戦などに関わるアメリカの歴史、スパイスの原産地なども知ることに。日本各地で広がるクラフトコーラの動きも紹介します。

 

コーラがそもそもどういう飲み物なのか、

どんなものが材料に使われているのかよくわかって、

児童書のくくりではありますが、イチから知りたい大人にも楽しい本です。

クラフトビールなら知っていたけど、コーラにもあるんですね~。

機会があったら、飲んでみたい。

 

iyoshicola.com

 

このシリーズ自体、全部読みたくなります。

www.ruralnet.or.jp

 

ジュースと言えば、こんな本も。

清水りょうこ「日本懐かしジュース大全」

 

写真満載の、ドリンク紹介本です。

時代がちょっと違うので、私はなじみがあると言えないものが多いけど

自動販売機で売られているのを見たことがある、ような? 

このパッケージは地元のスーパーで見た、ような? 

という飲み物がたくさんでてきて、記憶の微妙なところをくすぐります。

その中で、これは知ってる! と自信をもっていえたのがホットポー。

お湯で溶かすポカリで、結構好きでした。

withnews.jp

 

この本にも、そんな飲み物が紹介されています。

ナンシー関「お宝発掘!」

 

没後10年。これが最後の単行本未収録コラム集!

幻のデビュー連載「ナンシーの漢字一發!!」およびレアもの連載「コンビニ・ジュー

ス」ほか、ナンシー関のお宝コラム、多数収録。

 

連載「コンビニ・ジュース」は、90年代はじめに連載されていたそうです。

どこかにあるというおでんジュースを探しつつ、

サントリーの麦ミルク、カネボウのスパークリング・コーヒー、キリンの鮭茶漬け、

伊藤園の抹茶ウォーター、など一癖あるコンビニの商品を飲むコラムで、

紹介されているものを全然知らなくて、コンビニ商品の回転の速さを実感しました。