唐桃の読んだもの。

読んできた本や漫画を、徒然に紹介していきます。

切り絵の本を読みました~篠田香織「私家版生物図鑑」、「福井利佐切り絵作品集 KIRIGA」、蒼山日菜「レース切り絵」

江國香織 「流しのしたの骨」の語り手である

大学生のこと子は折り紙が好きです。

はじめて作るものでも、やりかたを丁寧になぞっていけば

できあがるところが好き、と言っていました。

私にとってのそういうものは切り絵だと思います。

1から作品を作れるわけではないので、

下絵に紙を重ねて切り抜いていくと、心が静まっていきます。

 

今日は、1から作られた切り絵の作品を紹介します。

私家版生物図鑑

篠田香織「私家版生物図鑑」

たまたま図書館で読んで、夢中になりました。

 

ここで描かれているのは空想世界の生き物。

哺乳類、鳥類、昆虫、甲殻類と、種類も様々です。

 

トンボの一種であるゴクラクトンボは

「しあわせな人のはなうたを主に食する」というような、

こことは違う世界の生き物の、生体についての説明がまたおもしろく、

夢中になってしまいます。

ranrantsushin.com

yamanoe.jimdo.com

福井利佐切り絵作品集 KIRIGA

福井利佐「福井利佐切り絵作品集 KIRIGA」

 

www.risafukui.jp

「紙を切ることによって浮かび上がる命。私は生きている線を描きたい」

 

作品にはデッサンの要素が強い、と書かれていたように立体的で、

1枚の紙から切り出したのかと思うと息を呑まずにいられません。

糸や水をたらしていったようだ、と思いました。

www.gap1969.jp

切り絵という言葉は、「モチモチの木」で有名な

滝平二郎によって一般的になった・・・というのも、この本で知りました。

 

レース切り絵

蒼山日菜「レース切り絵」

 

カッターではなく、特別なハサミを作って切り抜いていきます。

どんな切れ味なんでしょう・・・

この人の作品を、 TV番組で知ったのですが、

あえかな、とか優美な、という言葉が浮かびます。

真似できるかな?

精進しましょう。

博物館について書かれた本を読みました。~三浦しをん「ぐるぐる♡博物館」、 松岡宏大「ひとりみんぱく123」

ここ数年は旅行のついでに、とか

企画展目当てに、と言うことが多く、

その建物に何度となく足を運ぶ、ということはぐっと少なくなりました。

博物館の話です。

美術館でも、図書館でも、何かのついでに行ける距離にあるというのは

いいもので、何度も通うたびに、その場所とも親しくなっていくように

思います。

私が岩手に住んでいたときには、博物館がそうでした。

自転車置き場からゆるやかな階段を登って登って、

そこから見上げる建物を覚えています。

 今日はそんな、博物館を書いた本を紹介します。

      ぐるぐる?博物館        

           三浦しをん「ぐるぐる博物館」

 

もともと博物館が好きな著者が、

「おもしろそうだな」と思ったところに行って、

その魅力をレポートするルポエッセイです。

 

tsutaya.tsite.jp

dokushojin.com

飯田橋近くにある、風俗資料館を書いた章での

「愛や夢のない人生など、クソのようなものだ」という表現が

とても印象に残ったのですが、

それは、著者が小説でもいろんな形で「愛」とか「業」を

書いているからなんじゃないかと思いました。

命令されたからするのではない。義務だからでもない。

それは走ることであったり、刺繍だったり、人との関係であったりと

様々ですが、そうせずにはいられない何かを持っている。

 

また、この本には博物館に関わる人の愛が書かれています。

設計した人がいて、資料を集めた人がいて、企画を考える人がいて、

PR活動をしている人がいて・・・と、その場所に関わっている人が、

少しづつ博物館を作り上げていくのだなあ・・・と、

しみじみとしたものを感じました。

 

個人が作った博物館も紹介されていましたが、

一つの価値観によって集められたコレクションもまた博物館なのだと

思います。

実際に博物館や美術館に寄贈されるということもありますしね。

 そんなコレクションを紹介した本が、こちらです。                 

  ひとりみんぱく123

           松岡宏大「ひとりみんぱく123」

 

「わが家の民博にようこそ」
旅するライター&カメラマン松岡宏大が、世界の国ぐにで買い集めた工芸、民芸、雑貨、珍品迷品……。東京にある彼の家はいつしか「ひとり民俗博物館」と化し、独特の世界をつくりだしている。60点を超える品々を著者自らが撮り下ろした、ささやかで熱い図録集。

 

 縄文土器からはじまる図録そのものを楽しむと同時に、

カッチーナとはなんだろう、草ビロードとはなんだろう、

ガンジーファとは? ブリンキービルとは? と、検索がはかどります。

個人的には「キツネと月の石」(p75)が欲しい! と思いました。

山を背景にして、上に三日月が、下にキツネの姿が彫られていて、

これを作った人はキツネが好きだったのかな、

お守りだったのかな、と想像がふくらみました。

 

三葉虫の化石から高野幸雄のキノコランプまで、

時代や場所を越境した収蔵品に

宝物を見せてもらった気持ちになりました。

www.athome.co.jp

台湾のことを書いた本を読みました。~吉本ばなな「切なくそして幸せな、タピオカの夢」、猫夫人「店主は、猫 台湾の看板ニャンコたち」、グレゴリ青山「旅のうねうね」

 

著者と父親の、そして著者と息子の、家族と食事についてのエッセイです。

まず台湾の読者向けに書き下ろされ、

そのあとに日本でも発売された本なんだとか。

 

知らない人との距離が縮まり、一緒にいても緊張しなくなっていくことを

「時間というものがまるでおいしい漬物や、

おなかに優しいヨーグルトみたいに私たちの関係に発酵をもたらして、

人と人が家族のようになる」と表現していたのが印象に残りました。

 

表紙と挿絵を描いているSoupy Tangも台湾の人だそうで、

絵にもどことなくそこの雰囲気を感じました。

そう、私は台湾に行ったことがあるんです。

お茶がおいしくて、やっぱり水が違うんだな~、と思いました。

猫も見ましたよ。

階段があちこちに伸びている九份(ジォウフェン)のお土産屋で

棚と天井の隙間に潜んでいたり、

十分(シーフェン)で線路を枕にゴロゴロしていたり、大きなバッタを狙っていたり。

 

そんな台湾の猫がたくさん出てくるのが、こちらです。

 

漢方薬局のフェイ、果物屋さんのトラとタピオカ、書店の三毛・・・等々

台湾のお店と、そこで愛されている看板猫のフォトエッセイです。

猫がかわいいし、ひとつひとつのお店も昔ながらといった様子。

行ってみたくなります。

 

 作者は猫が大好き。ボランティア活動も多く行っているそうで、

台北郊外の旧炭鉱町、侯硐を猫好きの集まる猫村に変えた人でもあるそうです。

猫写真家の新美敬子も訪れていました。

www.msn.com

同じように、いろんな国を旅している様子を描いているのがこちら。

旅のうねうね

グレゴリ青山「旅のうねうね」

kzmr.net ネパールのカトマンドゥミャンマーヤンゴン三重県伊勢神宮

ベトナムのサデック・・・作者が訪れた国で、

そこで生きている人の人生を垣間見るエッセイコミックです。

 それは船の航跡のような、「うねうねとした思い出の模様」

 

 台湾についてもいろんなエピソードが描かれています。

公園の榕樹(がじゅまる)や、リスにエサをあげるおじいさんの様子など、

自分の似ているものを見た時の記憶とも重なっていきます。

本好きの日本人がここに来ると必ずふらふらになるという

誠品信義店には行ってみたいですね~。

これからの目標にしましょう。

www.travel.taipei

走ることについて書いている本を読みました。~ 角田光代「なんでわざわざ 中年体育」、三浦しをん「風が強く吹いている」、村上春樹「走ることについて語るときに僕の語ること」

さて、新年度最初の更新です。

 

運動会とか体育の授業とかで、走ることはこれまでも

それなりにありましたが、それを「楽しい」と思ったことは

ほとんどなかったように思います。

苦しくて口で息をしてしまい喉が痛くなる。

脇腹が痛くなる。汗が吹き出る。

そうして決まった距離を走り終え、地面にへたりこむ。

だから、日常的に走っている人の気持ちというものが

よくわからなかったのですが、

この本を読んで少しわかった気がします。

 

運動なんて嫌い。

走ることも好きじゃない。

それでも著者は走っています。

なんでわざわざ中年体育

角田光代「なんでわざわざ 中年体育」

 

中年たちは皆、運動を始める。フルマラソンに山登り・ボルダリング。人気作家が果敢に挑戦した爆笑と共感の傑作エッセイ集。

 

ヨガやボルダリングなどをしてみる回もありますが、

主に書かれているのは走ることです。

山で舗装されていない道を走ったり、旅行先で走ったり、

大会に参加したり。

思えば、小説も書きつづけなければ終わらないものですよね。

ということは、マラソンランナーは小説も書ける・・・のかもしれません。

人によっては。

 

この本の中では、旅行をしたときに走るための靴を荷物に入れておき、

知らない土地を走る楽しさを書いていたのが印象的でした。

もう走ることが好きなんじゃないかと思ってしまいますが、

本人も言っているようにそういうわけではないんでしょうね。

だけど、走ることに誠実であると思いました。

やらなくてもいいのに、フルマラソンをこのタイムで走りたい、

歩かずに走りきりたい、と思うこと。

 

走ることが好きとは言いきれないけれど、

走っていない自分が想像できない。

そんな描写が印象に残ったのは、こちらです。

風が強く吹いている (新潮文庫)

三浦しをん「風が強く吹いている」

 

箱根駅伝を走りたい――そんな灰二の想いが、天才ランナー走と出会って動き出す。「駅伝」って何? 走るってどういうことなんだ? 十人の個性あふれるメンバーが、長距離を走ること(=生きること)に夢中で突き進む。自分の限界に挑戦し、ゴールを目指して襷を繋ぐことで、仲間と繋がっていく……風を感じて、走れ! 「速く」ではなく「強く」――純度100パーセントの疾走青春小説。

 

箱根駅伝、といえば私にとって

お正月にTVで流されているもの、というくらいの認識だったので

そもそも予選があるものなのか、

そこに参加するにも資格がいるのか、といちいち驚きました。

 

1つのものにメンバーが違う視点で向かっていくところも、

それからのつきあい方の違いも、

それぞれの選択を世界が肯定しているような。

 きらきらしいものを感じました。

 

走り始めて25年、7万5000キロ以上の距離を

走りつづけているのは、こちら。

走ることについて語るときに僕の語ること (文春文庫)

村上春樹「走ることについて語るときに僕の語ること」

 

「走ることが性に合っていた」

この4半世紀ばかりを、著者がどう生きてきたか、

走ることを中心に書いています。

 

僕のようなランナーにとってまず重要なことは、

ひとつひとつのゴールを自分の脚で確実に走り抜けていくことだ。

尽くすべき力は尽くした、耐えるべきは耐えたと、

自分なりに納得することである。

 

お店の経営でも旅行でも、

何かを長いこと工夫しながらやっていれば自分なりの形ができるし、

他のことにも適用されていくのだと思いました。

 

books.bunshun.jp

そういえば、村上春樹の他の本で

ギリシャでの話を書いたものがありました。

そこはすごく田舎だから、趣味で走っているひとなんか全然いない。

だから自分が走っていると、その辺の農家で飼っている犬がすごく見てくる・・・

ということが書いてあったように思います。

相撲についての本を読みました。~「荒汐部屋のすもうねこ モルとムギと12人の力士たち」、はすまる「どすこいダイアリー」、中村明日美子「呼び出し」

私が小学生の時、休日の夕方はいつもTVで相撲が流れていました。

なので力士はテレビの人、という認識が強かったのか

両国に行ったときに、自転車に乗っているのを見たときは驚きました。

お相撲さんも普通に生活して、暮らしているんですよね。

あたりまえのことなんですけど・・・

 

最近は無観客相撲が行われており、また違った雰囲気があります。

今日は、そんな相撲や力士の出てくる本を紹介します。

荒汐部屋のすもうねこ:モルとムギと12人の力士たち

荒汐部屋のすもうねこ モルとムギと12人の力士たち

 

中央区にある相撲部屋、荒汐部屋

ここの看板猫が、表紙のモルちゃんです。

稽古に立ち会ったり、オヤツをもらっていたりする姿や、

もう一匹の猫、人見知りのムギちゃんとのかわいさもさることながら、

力士の様子も多く収録されており、

汗にびっしょり濡れた背中や、昼寝しているところなど、

相撲部屋の日常を垣間見た気分になります。

ilovedotcat.com

 また、相撲用語の説明もあり、

そこで「猫缶」という言葉が紹介されていました。

手も足も出ないことを言うそうです。

arashio.net

そうして、長く見ていれば好みも生まれてきます。

この本では、相撲好きなOLである著者が、

相撲に関連するいろんな場所を取材します。

どすこいダイアリー

はすまる「どすこいダイアリー」

 

生観戦の楽しさ、朝稽古の様子とその激しさ、普段の生活や

そこで働く人についてのページもあって、と興味深く読みました。

バックヤードツアーや両国の街歩きなども楽しめます。

漫画「すもうねこ」も、一緒にどうぞ。

sumo-neko.com

力士でも行事でもない、多様な仕事を行う

「呼出し」 についても描かれており、

そういえば中村明日美子の漫画でもあったな、と思い出しました。

呼出し一(1) (モーニング KC)

中村明日美子「呼び出し」

morningmanga.comただ、これはおもしろそうだと思っていたところで休載中・・・

再開が待ち遠しいです。

吸血鬼が登場する小説を読みました。~赤川次郎「吸血鬼はお年ごろ」、レ・ファニュ「吸血鬼カーミラ」、ブラム・ストーカー「吸血鬼ドラキュラ」

吸血鬼が登場する小説を読んだのは、

赤川次郎がはじめてだったのではないかと思います。

吸血鬼はお年ごろ (集英社文庫)

そう、「吸血鬼はお年ごろ」でした。

吸血鬼と人間のハーフであるエリカと、その父親フォン・クロロックが

メインとなって怪奇な事件を解決していく・・・というもので、

当時小学生だった私もずいぶん楽しみました。

時代を確認すれば、出版されたのは1981年から。

それが今でも出版され、上記のように新装版も出ていて、

改めてすごいことだと思います。

 

私が読んだのは、こちらの表紙↓でしたが

イメージが違いますね~。

 「吸血鬼はお年ごろ 長尾治」の画像検索結果

 

漫画でも小説でも、吸血鬼が出てくるものはけっこう多いです。

Wikipediaにも「吸血鬼を題材にした作品の一覧」という

専用タグがあるくらいで、

シャーロック・ホームズの中にも吸血鬼がらみの話がありましたし、

数多くあるパロディの中には、

ドラキュラと対決する小説もあるようです。

 

シャーロック・ホームズ対ドラキュラ―あるいは血まみれ伯爵の冒険 (河出文庫)

ジョン・H・ワトスン「シャーロック・ホームズ対ドラキュラ 

あるいは血まみれ伯爵の冒険」

今度読んでみましょう。

 

そうして、それらいろんな創作のもとになったのが、

「吸血鬼カーミラ」からの「吸血鬼ドラキュラ」です。

 

カーミラについては美内すずえの「ガラスの仮面」で知りましたが、

樋口一葉の「たけくらべ」も、シェイクスピアの「夏の夜の夢」も、

初めて知ったのはこの漫画であったことを思えば、

 いろんなところに入り口があるというのは大事なんだと思います。

 

吸血鬼カーミラ (創元推理文庫 506-1) 

 J・S・レ・ファニュ「吸血鬼カーミラ」

 

ここの語り手は、ローラという女性。

彼女が自分が少女だった時のことを思い出して書いた手記を、

とある博士が論文に引用したという設定です。

 で、ローラが子どもの時に出会い、

共に暮らすようになったのがカーミラです。

2人は仲良くなるのですが、カーミラは自分のことをほとんど話さず、

朝起きなかったりほとんど食べなかったり、

不思議なことを言ったりしたりします。

タイトルどおりにカーミラは吸血鬼なんですが、

最後に彼女がいなくなったあとも、ローラはほのかに思慕を残し、

 どことなく少女漫画の風を感じます。

 

吸血鬼ドラキュラ (創元推理文庫)

ブラム・ストーカー「吸血鬼ドラキュラ」

 

中世ヨーロッパの伝説から忽然としてよみがえった恐るべき吸血鬼の跳梁か? ヨーロッパの辺境トランシルヴァニアに、無気味な謎に包まれて住む城主ドラキュラ伯爵。昼は眠り、夜は目覚め、永遠の生命とともに人血を求めてさまよう呪われた吸血鬼の宿命。現代の恐怖と怪奇を描いて百万読者の心胆を寒からしめる、名作怪異譚!

 

そうすると、「吸血鬼ドラキュラ」には

少年漫画の趣があるかもしれません。

吸血鬼は人外だ、人の血を吸って仲間を増やす悪だ、倒せ! という、

作中での善悪がはっきりとしているところが特に。

書かれている中には、差別的なものもありますが

100年以上前に書かれたものと思えば十分許容範囲だし

手紙とか新聞記事とか日記とか、そういうもので物語がすすむので

テンポがよく、楽しく読めます。

 

カーミラの友人であるローラが、あまり個性がなかったのと比較して

ドラキュラ伯爵に狙われるミナは冷静で頭がよくて、

守られるだけのヒロインじゃないところもいいです。

むしろここに登場する男たちは、専門家のヘルシング教授を除けば

悪人じゃないけどあんまり役にも立たなくて、

ミナと教授がいればいいんじゃないかな、という気分になります。

 

今となれば古典とも言える吸血鬼小説は、

ここからたくさんの物語を生み出しました。

これからも生まれてくる物語を、読んでいきたいと思います。

屋久島が舞台になる本を読みました。~山極寿一・小川洋子「ゴリラの森、言葉の海」、恩田陸「黒と茶の幻想」、森絵都「屋久島ジュウソウ」

屋久島の森というのは一つの楽器のような、

あるいは動物や植物や昆虫が音を出しているオーケストラのようなものです。

 

ゴリラの森、言葉の海

山極寿一・小川洋子「ゴリラの森・言葉の海」

 

 山極寿一は霊長類についての世界的権威。

屋久島でも研究を行っていたそうです。 

 

tabisurumishinten.com

 

小川洋子は小説家で、「科学の扉をノックする」

「言葉の誕生を科学する」など、科学者との本も出版されています。

この本は、「野生の眼を持つ霊長類学者」

「ヒトの心の森に分け入る小説家」による対話です。

 

対談と屋久島でのフィールドワークが収められており、

もちろんその中で、お互いに話していくのですが、

言葉では語りきれない、言葉にならないものの多さを感じました。

 

ゴリラが一人でいるときにハミングをしたり、

仲間と楽しさを分かち合うために歌うような声を出すというところや、

小説を書くことは、森の中を歩くことに似ているということなど、

興味深いことがたくさん書かれていました。

 

山極寿一の本を読むのはこれが初めてでしたが、

他の本も読んでみたくなりました。

 

そしてこの本の後に読んだので、 サルの描写に目がいったのがこちら。

黒と茶の幻想 (Mephisto club)

恩田陸「黒と茶の幻想」

 

小猿は灰色のふさふさしたボールみたいで、

じっとこっちを見てくるのでどぎまぎする・・・と書かれていました。

 

これは学生時代からの 友人4人が屋久島・・ではなく、Y島を歩く話です。

山を歩きながら、思い出や昔の謎めいた話をしていく中で

お互いの過去と現在に触れていきます。

 

時間がたったから話せることも、あえて話さないこともある

「美しき謎と過去への思索の旅」。

各章で語り手が変わってくるので、

自分が思っている自分と、人から見た自分が微妙に違っていて、

お互いに親しく、観察しあっているようなところが好きです

 

この濃密な空気は静けさを感じさせない。

この感じは、棚に書籍のぎっしり詰まった、天井の高い、

古い図書館の中にいるようだ。という描写が印象的で、

私もその場所に行ってみたい、と思いました。

 

屋久島の山には、こちらの本でも登っていました。

屋久島ジュウソウ (集英社文庫)

森絵都「屋久島ジュウソウ」

 

 2005年5月某日、著者たちは三泊四日の屋久島旅行に出かけました。

これは「起こったことをおこった順に」書く、旅日記です。

 

九州の中でも最高峰の宮之浦岳に登り、

ハイになっているところがおもしろかったです。

「脳内麻薬が出ているような」と書かれていました。

 

エッセイを書くための旅行なので、

やはり受動的なことよりもあえて難しいこと、どうなるか分からないことに

挑戦していく方が楽しく、ネタになると考えていたところが

作家ならではだと思いました。 

 

屋久島。

いつか、行きたいものです。