唐桃の読んだもの。

読んできた本や漫画を、徒然に紹介していきます。

雑草について書かれた本を読みました。~吉本由美「みちくさの名前。雑草図鑑」、多田多恵子・大作晃一「美しき小さな雑草の花図鑑」

自然破壊が叫ばれているのはずいぶん前からですが、

さすがに外を歩いているとき、草の一本も目に入らないというのは

なかなか特殊な環境ではないかと思います。

とはいえ、その名前や植生を知っているかと言えばそれも微妙な話。

 

よく見るあの草、草むしりのときに抜きにくい雑草、

小さい花がかわいいあれ。

そういったところがせいぜいで、

名前を知らないものの方がずっと多いのですが、

草の名前とか、鳥の名前とか・・・

そういうことを知っていると、なんだか楽しい。

そんな楽しさを教えてくれる本が、こちら。

みちくさの名前。 雑草図鑑

関東のいろんな場所を散歩しながら、

著者が植物について教わっていく本です。

 もともと、「ほぼ日刊イトイ新聞」で連載されていたそうで、

今でも記事が見られます。

ほぼ日刊イトイ新聞 - みちくさの名前。

 

「花の名前を知ってることや、魚の名前を知っていることを、

人に知らせる機会なんか、なかなかありません。

知っていることが、知られにくいというのがいいなあと思うのです。」

 という言葉が、印象に残りました。

 

 そして、雑草の花部分に注目したのがこちら。

美しき小さな雑草の花図鑑 史上最高に美しい雑草の花図鑑。雑草はこんなにも美しい!

黄色、白、赤、青と色ごとに分けて紹介された花、

指先どころか爪の先ほどの大きさもない花が

こんなに美しいものなのか! と驚きました。

私は目に写してはいても、観察してはいなかったのだなあ。

と反省したくなりました。

葛の花の甘い匂いや、アザミの花のやわらかさととげの痛さなど、

忘れていたことがふっと意識にのぼってくるような本でした。 

単位について書かれた本を読みました。~米澤敬「はかりきれない世界の単位」、世界単位認定協会「新しい単位」

エラ・フランシス・サンダース「翻訳できない世界のことば」 の、

新刊広告からこの本を知りました。

同じシリーズになっているんですね~。

はかりきれない世界の単位

ここで紹介されているのは、

50の「近代化とともに使われなくなった、人間味あふれる」単位。

 

たとえば髭秒、は1秒間にひげがのびる長さ。

クローシャ、は古代インドで牛の鳴き声が聞こえる距離。

分、は時間にも貨幣にも使われてきたけれど、

もともとは古代中国で使われていた太さの単位で、

馬の尻尾の毛10本分・・・と、はじめて見る単位ばかりでした。

 

地域によって単位が違った時代が相当長かったことを考えると、

世界規模で単位を統一するには、

背後にいろんなことがあったのだと思わせます。

アメリカでは今でも、

フィートやインチが使われていているわけですしね。

 

 その関連では、この本がおもしろそうでした。

万物の尺度を求めて―メートル法を定めた子午線大計測

 

 また、こちらの本では、形のないものへの単位づけを行っています。

([せ]2-1)新しい単位 (ポプラ文庫)

 もともとテレビ番組の、人気コーナーだったそうで、 

ゴージャスさ、もどかしさ、怖さなど、それがどのくらいの程度なのか、

わかりづらいものへの基準を決めていきます。

器用さの基準を、漢字のしんにょうをきれいに書きこなすこと

「Sn(シンニョー)」としたり、

はかなさの基準を、お祭りですくった金魚「Kg(キンギョ)」としたり・・・

五月女ケイ子のイラストと、えもいわれぬ世界を作っています。

 

単位物語 (講談社文庫)

また、単位といえばこちらの本。

相当前に読んだので、

単位についての雑学と、それにからめた短篇小説がおもしろかった・・・

ことは覚えているけれど、具体的な話は忘れてしまったので、

また読み返そうと思います。

ユリイカ2018年10月号「図鑑の世界」を読みました。

ユリイカ 2018年10月号 特集=図鑑の世界

青土社 ||ユリイカ:ユリイカ2018年10月号 特集=図鑑の世界

 もともとこの雑誌は好きで、よく読んでいたのですが

今回は特に読み応えがありました。

 

あの図鑑ができるまでにはこういう過程があったのか、

こんな目的で作られていたのか、こんな工夫があったのか、

という発見がたくさんありました。

 

図鑑のいいところは、

ただめくっていても楽しいところなのだと思います。

ここに載っているものを見たことがある。

これはあれと似ている。

見たことがないけれど、こんなものがいるんだ。

魚、植物、鉱石、妖怪・・・

共感と驚きをもってページをめくっていくのは、

読書の楽しみでもあるのではないかと。

 

世界で一人、シャークジャーナリストとして情報を発信している

沼口麻子の「ほぼ命がけサメ図鑑」や、

詩人、小笠原鳥類の作品など、

興味深い記事がたくさん掲載されていて、

読みたい本がまた増えてしまいました。

ほぼ命がけサメ図鑑 鳥類学フィールド・ノート

 

巻末のアンケート「わたしと図鑑」には、

もし自分で1冊の図鑑を編むとすれば、

何についてのどのような図鑑にしたいか、

という質問があったのですが、

国境の図鑑、図鑑の図鑑、イカ墨の図鑑など、

回答者の好みがあふれてくるようでおもしろかったです。

「MINIATURE LIFE展 ~田中達也 見立ての世界~」を見にいきました。

www.youtube.com9月23日(日)まで、日本橋高島屋

「MINIATURE LIFE展 ~田中達也 見立ての世界~」

が行われています!

上記のムービーに使われているジオラマも展示されていて、

いろんな角度から見てきました。

 

この方の作品の中では、ブロッコリーがサバンナの木になります。

ストローが竹やぶに、

粉砂糖が天の川に、

ホチキスの針が本棚に。

身近にあるものを「見立てて」違うものに見せる楽しさと工夫、

そしてTwitterで毎日作品を発表しているということも、

すごいの一言。

現物を見てもよし、パネル写真もまたよしと、

見ている間、ずっとニコニコしていました。

 MINIATURE LIFE ミニチュアライフ

作品集も出版されているので、これから読んでみるつもりです。

 

ミニチュアの展示といえば、こちらの方もすごいんです。

田中智のミニチュアコレクション (Handmade Series)

 2センチのタルトに乗ったたくさんの果物、

1.5センチ四方の箱に入った16種類のケーキ、

米粒が一つ一つ作られた卵かけごはん・・・

精密で、リアルで、おいしそう。

見ているとため息が出てしまいます。

ビールがおいしそうな本を読みました。~西澤保彦「麦酒の家の冒険」、恩田陸「酩酊混乱紀行」

ばーっと汗をかいて、熱くてのどがかわいて、

疲れているときのビールはいいですよね。

炭酸の刺激も、あの苦味もひときわおいしく感じられる。

グラスが冷えていればもっといい。

今日はそんなおいしさを実感できる本を紹介します。

 

麦酒の家の冒険 (講談社文庫)

大学の友人4人が、迷い込んだ森の中の別荘。

冷蔵庫の中には、缶ビールとジョッキがいっぱいに入っていた・・・

というところから始まるミステリー。

 

時は9月、

「熱気と湿気は、まるで濡れた毛布のようにまとわりついてくる」

ころであるだけに、今年の酷い熱さを知る身としては

彼らの疲れも、注ぎ込むビールの味もリアルに感じられます。

 

・・・嗚呼、それはいったい、何という味であっただろうか。

いや、それはもはや味というよりも、

超新星誕生というかビッグバンというか、

ひとつの世界が閃光を撒き散らしながら

弾け飛んだかのような衝撃であった。

 

という文章が印象的でした。

彼らが誰かを捕まえるでもなく、

限られた情報の中でいろんな意見を出し合っては議論していく形で、

ビールに始まりビールに終わる、後味のいい物語です。

 

 

 旅行とビール、ならばこちらも。

「恐怖の報酬」日記―酩酊混乱紀行 (講談社文庫 お 83-6)

列車といえばビールだ。これは世界共通の掟である。

というパワーワードも見られる、紀行エッセイ。

その時見ていることと過去に起こったこと、

目の前で起きていることと起こっていないことを

縫い合わせていくような著者の文章が好きなのです。

ロンドンの駅で飲むベルギー・ビール、

アイルランドのパブで飲むギネスなど、

各地のビールが旅路と、そこから生まれるイメージを彩ります。

 

また、文庫版には番外編として

ビールづくしの「身体に悪い大人の修学旅行」が載っていました。

キリンビール横浜工場、

夜行列車北斗星で行くサッポロビール園、

沖縄で飲むオリオンビール

 これがまた、楽しそうでおいしそうで、小説のような趣きもあり、

真似てみたくなりました。

「デザインあ」の本を読みました。~岡崎智弘「デザインあ 解散! の解」、「デザインあ 解散! の散」

 

www.miraikan.jst.go.jp

日本科学未来館で10月18日まで行われている

デザインあ」展を見に行きました。

 

ここではお弁当に入った梅干しの気持ちを知ることも、

デッサンをしてみることも、歯車となって回りながら通路を進むことも、

四方を囲むスクリーンに映し出される映像と音に

全身を包まれながら聞き入ることもできます。

見ることも、聞くことも、手を動かすこともできて、

たっぷり遊べる展示です。

なので、今日はここに関する本を紹介します。

 デザインあ 解散!の解デザインあ 解散!の散

1つ1つがぼろぼろとはがれていく発砲スチロール、

つるつるになるマトリョーシカ

網目がずるりとはずれるメロン・・・

 「ものをバラバラにして、パーツをきれいに並べることでみつかる発見」

 は、意識さえしなかったことを見せてくれます。

玉ねぎとマトリョーシカは、同じ構造だということとか。

 

私が「デザインあ」について知った本でもあります。

 

www.youtube.com

 

デザインあ」の「あ」は、

驚きの「あっ」であり、はじまりの「あ」。

ということを、プロデューサーの方がインタビューで話していました。

(NHK Eテレ「デザインあ」が考える「デザイン」とは?)

 

楽しい驚きと、観察を形にすることで世界を見る目が変わります。

靴について書かれた本を読みました。~ジョン・ピーコック「Shoes」、えすとえむ「IPPO」、園田ゆり「あしあと探偵」

立って歩けるようにもなれば、

それは靴を履くこととほとんど同じ意味でありました。

 

これまで履いてきた何十足を思い出すような、

靴について書かれた本を紹介します。

 

Shoes シューズ

この本、ジョン・ピーコックの「Shoes」では、

3000年以上前のサンダルから現代のパンプスまで、

これまで世界中で履かれてきた靴をイラストで紹介しています。

 

つまさきをうんと幅広にするのが流行だったり、

足場の悪いところで履いたのか、底に下駄のような歯がついていたり、

足首のところでリボンを結ぶパンプスがあったりと、

時代背景も伺うことができました。

また、流行があるにしても

靴の基本的なデザインは古代とそれほど変わらないのだなあ、とも。

そのあたり、傘と似ています。

 

また、靴を作る漫画ならこちらを。

IPPO 1 (ヤングジャンプコミックス)

イタリアで靴の修行をしてきた一条歩が、

オーダーメイドの靴屋「IPPO」で、客の靴を作っていく

オムニバス形式の物語です。

 

プロポーズのために恋人に靴をプレゼントする男性、

自分のセンスに地震がない芸能人、

義足の女性・・・

それぞれの人生を進んでいく中での交点。

 

靴が悩みそのものを解決するわけではないのです。

ただ、今までとは違うものを手に入れる、

安いものではない買い物をすることで自分も変わる。

そういう変化が必要なときもある、ということだと思いました。

 

そして歩いていけば、おのずと足跡が残ります。

あしあと探偵(1) (アフタヌーンコミックス)

 

公式サイトによれば、

日本では、年間8万人もの人が消えている——。

「人探し専門」の看板を掲げる探偵事務所の新人・麦野と、

天才・寺崎のコンビが数々の失踪者を探し出す。

それぞれの理由を抱えた失踪者に辿り着く手がかりは、

残された痕跡と失踪者の心理だけ……

探偵vs.失踪者、知恵比べと根競べの社会派人間ドラマ!

引用元:あしあと探偵 / 園田ゆり - アフタヌーン公式サイト - モアイ

 

作者がサイトで描いている漫画もおもしろいです。

ちょっと星新一に似た雰囲気があります。