唐桃の読んだもの。

読んできた本や漫画を、徒然に紹介していきます。

お墓参りに行く本を読みました。~大塚英良「文学者掃苔録図書館」 、安堂友子「日本文学(墓)全集 時どきスイーツ」、山崎ナオコーラ「文豪お墓まいり記」

5年ほど前に住んでいたところは、 すぐ近くにお寺があり、

ときどきお線香の香りが漂ってきました。

家からちょっと歩けば着くような場所にお墓があると、

お盆以外の時でもお参りがしやすそうだと思いました。

そんなお墓参りの中でも、

「文豪や武将など、歴史上の有名人のお墓に参って思いをはせる、

そんな静かな行楽を趣味とする人たち」は、

マイラーと呼ばれるそうです。

元祖・墓マイラーはこの方だとか。

kajipon.com江戸時代からある趣味だそうで、

「文学者掃苔録」では、250人に及ぶ作家・詩人の墓を巡っています。

文学者掃苔録図書館: 作家・詩人たち二五〇名のお墓めぐり

大塚英良「文学者掃苔録図書館」

掃苔(そうたい)とは墓の苔を掃き清めることから転じて墓参りのこと。本書は20年をかけて小説家や詩人たちの墓を訪ね、思いをめぐらせた文学散歩250名の記録である。巻末にはこれまで訪れた1000件の文人墓地一覧を収録した。  

www.asahi-net.or.jp同じ霊園にお墓があるって、同じ町に住んでいるようなものでしょうか。

お墓の写真も載っていて、個性に驚かされます。

がん、結核、老衰、事故、自殺・・・

人は誰でも死ぬんだ、ということを感じる本でした。

 

日本文学(墓)全集 時どきスイーツ

安堂友子「日本文学(墓)全集 時どきスイーツ」

 

日本の文学史に名を残す、14人の文豪の墓を巡るとともに、墓地の近くにあるお店で、おいしいスイーツも召し上がれ!

 

太宰治夏目漱石芥川龍之介・・・、

どのくらい読んだかはとにかく、名前は知っている。

作品が教科書に載っていた。漫画になっていた。

ゲームや小説に、本人が出てきた。

そういう立場の人を文豪と呼ぶんじゃないかと思います。

 

この漫画で紹介されているエピソードは、

Wikipediaには載っていない情報を」をモットーに調べている、

とさらりと書かれており、

知らなかった逸話もたくさん書かれていました。

テンポのいい会話やエピソードの紹介とツッコミがおもしろく、

江戸川乱歩の眠る多磨霊園での、

「面積39万坪の128万㎡! 東京ドーム27個分!!」

「すげぇえええ」

「園内にバス停がふたつあります!!」

「マジかぁあああ」

「木も鳥もいっぱいで”野鳥密猟禁止”の注意書きがあります」

※チカン注意の立て看も

「怖ぇえええ」

「地元民以外は車でお参りにきてます!!」

「そらそうだ!!」

「そして・・・そこに徒歩できちまった我われー!!」(p39)

など、めくるページが止まりません。

 作品や本人ではなく、逸話やお墓から知る文豪。

はじめの一歩になるような本でした。

 

文豪お墓まいり記

山崎ナオコーラ「文豪お墓まいり記」

 

終戦の前日、永井荷風谷崎潤一郎がすき焼きを食べた。
あの文豪を、もうちょっと知りたい。
二十六人の作家と出会う、お散歩エッセイ!

 

まず、お墓の掃除って身内じゃなくてもしていいんだ・・・! 

と、驚きました。

タワシを借りて掃除した、という描写が何度かあったのですが、

これって割と一般的なことなのかな?

 

文豪のことや、書いたものはもちろん、

著者やその周りのことも多く書かれていました。

父親の死、自分の手術。

時に母親と、友人と、夫と、

 いろんなものを見て、食べて、お参りをして帰るまでは

レジャーのようでした。

 

同じ人のお墓に行っても、

それまでの関係が違うのだから感想も違ってくるのがまたおもしろく、

例えば夏目漱石について、

大塚英良はその大仰な墓について書き、

安堂友子は作品に書かれた小動物との向き合い方と

キアズマ珈琲で飲んだコーヒーのおいしさを書いて、

山崎ナオコーラは「こころ」について、

同性愛っぽさが若人をひきつけるのだろう、と書いています。

今度は、私が行ってみる番でしょうか。