唐桃の読んだもの。

読んできた本や漫画を、徒然に紹介していきます。

給水塔について描かれた本を読みました。~比留間幹「給水塔 Beyond The Water Tower」、オオタマサオ「TOKYO WATER TOWER」、恩田陸「象と耳鳴り」

ようやく新居にインターネットがつながり、

ブログを再開できるようになりました^^

これからもよろしくお願いします。

さて、令和はじめてのブログは

団地などでときどき見かける給水塔についてです。

 

吉田篤弘の「台所のラジオ」にあった、

 

「あそこに、ほら、白い大きな塔があるでしょう? 

あれはなんの塔なの? なんだか夢のよう。

子どものころに読んだ本の中に出てきた

不思議なかたちの塔によく似ているんだけどー夢なの、これ」

 

「いえ、伯母さん、僕にも見えていますから夢じゃないです。

あれはたしか給水塔じゃなかったかな」

 

という一節が印象深く、

給水塔というものが気になるようになりました。

そこでたまたま見つけたのが、こちらの本です。 

 

給水塔 比留間幹写真集

比留間幹写真集『給水塔 Beyond The Water Tower』

6年以上をかけて都道府県の各地で撮られた、

給水塔のある63の風景が撮られています。

 ろうとのような形のもの、誰かが住んでいそうなもの、

ぬっと現れるもの・・・唐突に存在する給水塔の姿、

「不条理の塊」たるそれに、写真を見る私までその風景に立ち、

風にさらされているような気分になりました。

 

www.excite.co.jp

ここに写っている給水塔は、今もあるかどうかわかりません。

オオタマサオ「TOKYO WATER TOWER」によれば、

「現在では、給水システムの進化によって、

給水塔が新しく建設されることはほとんどなく、

老朽化した給水塔は壊され、新しい給水システムに移行している。

そのため、数を減らしており、やがてはその姿を見ることが

できなくなるかもしれない」とありました。

TOKYO WATER TOWER 

こちらも給水塔を集めた写真集ですが、

東京の団地の中にあるもの、と限定されています。

1つ1つの給水塔につけられたキャッチフレーズや、説明書きは

短篇小説の趣きもあります。

 

給水塔の出てくる小説で、思い出したのがこちら。

巨大なものが日常生活の中にある、

ぞっとするような部分が描かれています。

象と耳鳴り―推理小説 (祥伝社文庫)

 引退した判事、関根多佳雄が主人公のミステリー短編集で、

そのうちの1話が、まさに「給水塔」というタイトルなのです。

 

白い坂の向こうにそびえる黒い塔。

石造りで三角形の屋根を戴いた、古い給水塔。

 町を歩きながら、主人公と散歩仲間の時枝満が、

ある事件について語り合います。

一行目の「ほら、あれがその『人喰い給水塔』ですよ」に、

ぐっとひきつけられました。

 

 ここでモデルになった給水塔は、

著者が都営浅草線西馬込で見たものだそうですが、

 まだあるのでしょうか・・・