自然破壊が叫ばれているのはずいぶん前からですが、
さすがに外を歩いているとき、草の一本も目に入らないというのは
なかなか特殊な環境ではないかと思います。
とはいえ、その名前や植生を知っているかと言えばそれも微妙な話。
よく見るあの草、草むしりのときに抜きにくい雑草、
小さい花がかわいいあれ。
そういったところがせいぜいで、
名前を知らないものの方がずっと多いのですが、
草の名前とか、鳥の名前とか・・・
そういうことを知っていると、なんだか楽しい。
そんな楽しさを教えてくれる本が、こちら。
関東のいろんな場所を散歩しながら、
著者が植物について教わっていく本です。
もともと、「ほぼ日刊イトイ新聞」で連載されていたそうで、
今でも記事が見られます。
「花の名前を知ってることや、魚の名前を知っていることを、
人に知らせる機会なんか、なかなかありません。
知っていることが、知られにくいというのがいいなあと思うのです。」
という言葉が、印象に残りました。
そして、雑草の花部分に注目したのがこちら。
黄色、白、赤、青と色ごとに分けて紹介された花、
指先どころか爪の先ほどの大きさもない花が
こんなに美しいものなのか! と驚きました。
私は目に写してはいても、観察してはいなかったのだなあ。
と反省したくなりました。
葛の花の甘い匂いや、アザミの花のやわらかさととげの痛さなど、
忘れていたことがふっと意識にのぼってくるような本でした。