ばーっと汗をかいて、熱くてのどがかわいて、
疲れているときのビールはいいですよね。
炭酸の刺激も、あの苦味もひときわおいしく感じられる。
グラスが冷えていればもっといい。
今日はそんなおいしさを実感できる本を紹介します。
大学の友人4人が、迷い込んだ森の中の別荘。
冷蔵庫の中には、缶ビールとジョッキがいっぱいに入っていた・・・
というところから始まるミステリー。
時は9月、
「熱気と湿気は、まるで濡れた毛布のようにまとわりついてくる」
ころであるだけに、今年の酷い熱さを知る身としては
彼らの疲れも、注ぎ込むビールの味もリアルに感じられます。
・・・嗚呼、それはいったい、何という味であっただろうか。
いや、それはもはや味というよりも、
超新星誕生というかビッグバンというか、
ひとつの世界が閃光を撒き散らしながら
弾け飛んだかのような衝撃であった。
という文章が印象的でした。
彼らが誰かを捕まえるでもなく、
限られた情報の中でいろんな意見を出し合っては議論していく形で、
ビールに始まりビールに終わる、後味のいい物語です。
旅行とビール、ならばこちらも。
列車といえばビールだ。これは世界共通の掟である。
というパワーワードも見られる、紀行エッセイ。
その時見ていることと過去に起こったこと、
目の前で起きていることと起こっていないことを
縫い合わせていくような著者の文章が好きなのです。
ロンドンの駅で飲むベルギー・ビール、
アイルランドのパブで飲むギネスなど、
各地のビールが旅路と、そこから生まれるイメージを彩ります。
また、文庫版には番外編として
ビールづくしの「身体に悪い大人の修学旅行」が載っていました。
キリンビール横浜工場、
沖縄で飲むオリオンビール。
これがまた、楽しそうでおいしそうで、小説のような趣きもあり、
真似てみたくなりました。