俳句のよさは、写真のようなものだと思います。
きりとり方や撮るタイミング次第で、
見慣れた風景でも、初めて見るような新鮮なものとして写ります。
また、思いも寄らぬ言葉の組み合わせで、
イメージが広がることもあります。
そんな俳句の中でも、今回は猫を詠んだ俳句の本を紹介します。
猫を詠んだ俳句を、俳人の堀本裕樹が選んで解説し、
ねこまきが漫画を描く。
ときにほのぼの、ときに物悲しい、さまざまな姿の猫がみられます。
悲しみのかたちに猫を抱く夜長 (日下野由季)
などに、はっとするものを感じました。
鎌倉、川越、浅草、横浜・・・
淡海うたひの俳句とともに、あちこちのお寺にいる猫を撮っています。
雪女飼ひたる猫も雪の色
という俳句と同じページにある、
遠くを見つめるような白猫の写真が印象に残りました。
手触りや膝にのる感触。
いるのかいないのかわからないところ、不思議なところ。
耳や肉球、目の光。
あらゆる場所に存在する猫の、
猫づくし俳句アンソロジーです。
アンソロジーのいいところは、思わぬ出会いがあるところですね。
黒猫の子のぞろぞろと月夜かな(飯田龍太)
卯波という大きな猫をさわりにゆく(永末恵子)
など、楽しい句がたくさんありました。