唐桃の読んだもの。

読んできた本や漫画を、徒然に紹介していきます。

ジャンプする本を読みました。~古川日出男「サマーバケーションEP」、林ナツミ「本日の浮遊」、青山裕企「ソラリーマン」

年を越すとき、ジャンプをすると決めていたときがありました。

重力に囚われるのは、それはもうしかたないこと。

だから飛び上がっているときに、数秒間だけでも

解放されているような気になったのかもしれません。

 

今日は、ジャンプが印象に残る本を紹介します。

サマーバケーションEP (角川文庫)

サマーバケーションEP (角川文庫)

 

 

季節は夏、舞台は東京。

井の頭公園でたまたま出会った彼らは、

海に向けて神田川沿いを歩きます。

出会いながら、別れながら、川の流れのように

 

そして、飛びます。

ジャンプした時は永遠になります。

最後のページを読んだときに、

飛び上がった瞬間が切り取られたように思ったのですが、

物理的にそんな浮遊した瞬間を切り取ったのが、こちら。

本日の浮遊 Today's Levitation

本日の浮遊 Today's Levitation

 

 

 重力を無視するというテーマで、彼女は跳びます。

歩道で、トンネルで、駅のホームで。

階段で、河原で、台湾で。

飛び上がってから飛び降りるまでの、浮遊した瞬間を狙って、

シャッターを切ります。

 

普通に立っているときと、ジャンプしている時の表情の違いに

驚いたのが、こちら。

ソラリーマン―働くって何なんだ?!

ソラリーマン―働くって何なんだ?!

 

 

各地のサラリーマンを正面から撮った写真と、

彼らが飛び上がった写真。

名刺を持つ手と、仕事について思うところを書かれた文。

 

スーツで仕事をすることが日常なら、

スーツでジャンプするのは非日常。

 日常と非日常の境目をたどるような本でした。