犬が飛ぶ。
跳び上がった空中で、体勢を変える。
芝生の上を駆ける、雪原を跳ねる、花畑で遊ぶ。
フリスビーに飛びかかる、
ボールに向かって跳ぶ、
大勢で柵を飛び越える。
鼻や毛並みがぴかぴかしていて、
躍動感があふれ、
見ているこちらもわくわくしてくる写真集です。
今でもときどき、思い出すことがある。空き地の雑草を踏んで走る快さ。
球拾いに行って口にくわえたときの、硬球のザラザラした舌ざわり。
子供たちの柔らかな膝の裏側の甘酸っぱい匂い。
探偵事務所の飼い犬、元警察犬であるジャーマン・シェパードのマサ。
主に彼の視点から、ある事件が語られます。
この本は、中学生の時にはじめて読んだのですが、読み返してみると
野球や家族関係など、複数の要素が絡み合ったストーリーはもちろん、
文章にも、あちこちに惹かれる表現がありました。
女性の白いブラウスに夜のネオンが照り返しているところの、
「ここにいると、蛍光ペンになったみたいな気がするわ」という言葉なども、
その1つ。
犬といえば、こちらも。
名前も分からない誰かが作った、こまいぬ160匹。
こちらをにらみつけているものや
歯をむき出しているもの、
モデルになった犬がいたようなもの、
顔を線で描いたようなもの・・・
強そうなものも、愛嬌のあるものも、
狛犬って、こんなに個性豊かなものだったのか!
と、驚きました。
地元の神社も紹介されていて、うれしかったです。